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夢現刻物語 16

原作:ぽてとあげたい様 文:かばぷー による

「夢現刻物語」
(ゆめうつつのとき ものがたり)

第16話をお届けします。
前のお話はこちら 序章          10 11 12 13 14 15 

ぽてしゃんワールドと、かばぷーワールドの融合をどうぞお楽しみ下さい。









夢現刻物語 16 ~復讐の始まり~





「キョーコ…一つ提案があるんだが、それを受け入れてみる気はないだろうか?」

ヤシロはそういうと、優しくキョーコの背を撫ぜた。

「私と結婚をしないか?」

突然のヤシロからの提案
その内容をヤシロは語り、キョーコはゆっくりと頷いた。







(昨日はどうかしていた…)

皇子はベッドの上で頭を振った。
皇帝の誕生の祝賀のために蓬莱の国から訪れた美しい姫。勿論、それは建前で実際は花嫁候補の一人であることは重々分かっていたつもりだったのに…

見たこともない色香に引き込まれそうになった。
あの濃厚な香りは一体なんだったのだろう?
もしあのときバルコニーで、走り去っていくキョーコの後姿が視界に入らなければ、そのままコトに及んでいただろう…

途中でやめたことをさして気にする風でもなく、ニヤリと微笑んだ蓬莱の姫…

あの意味深な視線は何を意味していたのだろう…



朝の湯浴みを済ませ、執務室に入る。
いつものように書類を眼に通すが、そこにはヤシロの姿はなかった。
珍しい事もあるものだと、すっきりしない頭でキョーコに酔い覚ましの茶を頼もうと女官を呼んだときだった。

「クオン、これからはもうそのようにキョーコを便利に使うことは出来なくなりますよ。」

皇后の声がした。

「母上…これは異なことを。確かに女官の采配は母上の管轄ではありますが、キョーコは私付きの女官。茶を頼むことが出来なくなるとは?」
「ふふふふふ…まあ、いつまでも仲の良いこと。ですが、めでたい事ですから、そなたには喜んでもらわねばなりませんね。ふふふ…っ」

皇后の声はとても嬉しそうだ。

「キョーコの縁談が決まったのですよ。」





「……………………え?」

「まあ!そんなに驚いて!キョーコに縁談を勧めていたのに、色よい返事がないから困った事と思っていたのです…まさか、こんな事になっていたとは、わたくし、全く気付きもしませんでした。そなたはもう知っているとばかりに思っていましたが…今の反応をみると、そなたも知らなかったと見える。」

「………………何のことです?」

その時、部屋がノックされた。
入ってきたのは、ヤシロとキョーコ…いつもの見慣れた顔であるのに、やけに胸騒ぎがする。

「殿下、おはようございます。本日は報告があって参りました。」




笑顔で搾り出した、二人への祝いの言葉

上手く表情が作れていただろうか…
黒い感情が表に出たりはしていなかっただろうか…

皇子の足元から、すうーっと床が遠のいていく気がした








ヤシロの結婚が決まったからといって、城内の様子も、皇子の生活も何ら変化したわけではなかった。執務に忙しい毎日。いつものように淡々と仕事をこなしていくヤシロ。少しだけ気を落としたように見えたタイラもすぐに持ち直した。
何事もなく日々は過ぎていく…ただそこにキョーコがいないだけ。

宿下がりを申し出たキョーコのいない宮殿は、ひどく空虚に思えた。




「ヒズリの皇子…随分と弱っておいでですね…」

蓬莱の姫がよい匂いを漂わせて側に擦り寄る

「お慰め…致しましょうか?」

するりと腕が首に纏わりつき、唇を重ねる…
その誘惑の瞳に何度捕らわれそうになったことか

「ただ一人の人間を思い続けるなんて愚かで虚しいだけ……永遠の愛を誓う事などおやめなさいませ…さすれば、極上の世界が広がりましょうに…ほら……こんな風に……」

クスクスと笑いながら、皇子の敏感な場所に触れるその姿態に、つい手を伸ばしたくなる。
ただ、口付けを交わすだけなのに、すべてを吸い取られてしまいそうになる。

皇帝の祝い事から何週間か経っても、蓬莱の姫が城にとどまっている事を誰も疑問に思わなかった。むしろ…それに対して異を唱える物など、誰一人としていなかった。


何かがおかしい
何かが狂っている


皇族魔法団の長が、ようやく城の異変に気がついたのは、キョーコとヤシロの婚約が決まり、宿下がりを申し出てから一月が経った頃だった。


「恐れながら、皇帝陛下に申し上げます…」
「ハダルか。うむ、申せ」

「最近の城内の空気に、魔導師の数名が異を唱えておりまする…」
「…異を?それはどのような事だ?」

「空気が…淀んでおると申す者がおるのです。」
「ふむ…それはいつから?」
「一月ほど前からその兆候があったようだと…水晶の珠がそれを示しております。」

皇帝は眉間に皺を寄せた。
一月前…それは皇帝の誕生を祝う一連の行事を指すことに他ならない。

「……お許しくださりませ。その頃には多くの賓客が訪れておりますゆえ…何か、不穏な動きがあったのではなかろうかと推察するものもおります。」
「そうか、なるべく早く淀みの元を探し当てよ。クオンの婚姻に差し支えなきようにな…」

魔法団の長は、その言葉に違和感を覚えた。

「クオン皇子の…婚姻?」
「そうだ、いかがした?」
「陛下!その婚姻にまつわるすべて、魔法団は一切を預かり知っておりませぬ!!」

「何を…馬鹿な…………いや………?」

皇族の婚姻に当たっては、神聖な儀式ゆえに皇族魔法団がそのすべてを取り仕切る。
天を読み、地を読み、魔法の手を借りて良き日を決める決まりだ。
その魔法団が予定されている婚姻の事を知らぬなど…有り得ない。

皇帝は眉間を押さえた。

「クオンは…皇子は…誰と結婚するのだ?」
「陛下!誰でござりまするか!!??」

「分からぬ………“誰”だ?」

その時、ごうっ!!!と風が吹き荒れ、宮殿に笑い声が響いた。



『クククククッ………今頃気付いても、もう遅いわ……』

「誰だ!?」

『我が名はザメルザ…』

「んなっ!!ザ…ザメルザ!?」

『ほう…我が名を知っていたようだな…だが、姿までは知らぬと見える…。クククククッ!憎きヒズリの一族よ、そなたらの繁栄はここで終わる。我が一族の恨み…200年の時を経て、今!受け取るがいい!国と皇子とそして白魔女ともども、絶えるがいい!あーはははははっ!!』

「皇子は!?クオンはどうした!?」
「魔法団よ!皇子を確認せよ!!」

『ククククククッ!!皇子…?白魔女の加護がない水の民など赤子も同然…ついでに面白い茶番も見せてもらった…』

「結界を張れ!すぐにだ!!」

『おお…つまらぬことを…われにそのような物は効かぬわ…!!!フフフフ…もう既に種は撒いた。あとはじわじわと蝕まれるのを待つだけ…そして、もう使い物にならぬ皇子とともに、この国を襲う未曾有の災害に苦しむがいい!!』


ガタガタと窓枠が鳴り、ガシャーンと大きな音とともに、大広間のシャンデリアが揺れ落ちた。
大きな地面のゆれとともに、あちこちで悲鳴が上がった。

帝都の奥底で揺らいでいた太古の魔法が、強引にかき回され、浮かび上がり、大気の中にしだいに濃く満ちてくる。


ザメルザの復讐が…始まったのだ。






(続く)
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コメント

コメント(2)
盛り上がっております(☆o☆)
この回は、ぽてとがこれまた大好きな回です。ぽてとは、こちらの御伽噺の結末も大筋も知っているけれど、でもそこに至るまでの全ての過程を全て知っているわけではなく。だからこそ、『かばぷーしゃまったら、そうきたかー!さすが!』というのが本当に楽しくて(*≧∀≦*)
かばぷーしゃまは、ぽてとには絶対ない発想と書き方されるから〰っ、もうこのこの〰ニクイニクイっ(*>ω<*)σ)Д`*)ゞ

あ〰ハラハラした〰!
ドキドキした〰♡!
ザメルザの迫力がすごいよ〰(//∇//)城の中の異様さが、クオン皇子の戸惑いが、サスペンスみたいで。読んでるとなんだか不安になる感じ?……………うん、イイ(≧∇≦)b

ぽてとたべたい&ぽてとあげたい

2018/07/20 17:28 URL 編集返信
かばぷー
Re: 盛り上がっております(☆o☆)
> ぽてとたべたい&ぽてとあげたい 様

盛り上がり、ありがとうございます。
はらはら、ドキドキの場面展開になってますでしょうか?
なってますね?

もうね、序章にどうつなげるかって言うのが、お話の中心でもありますから、我輩の脳内妄想を駆使しまくりました!
ザメルザの接近も、どんな勝負をつけようとしているのかも、妄想に妄想を重ね、何とかここにこぎつけることが出来ました。
不安になる感じがでているとしたら、頑張ったかいがあったというもの。
それに、皇子がまんまと誘惑乗っかってしまいそうになったのも、過去、マギーアの魔女たちがどうやって他国に進出していったかも何となくこれで分かっていただけたと思います。
ええ、誘惑の美女
どないでっかー?

かばぷー

2018/07/20 21:01 URL 編集返信
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