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夢現刻物語 17

原作:ぽてとあげたい様 文:かばぷー による

「夢現刻物語」
(ゆめうつつのとき ものがたり)

第17話をお届けします。
前のお話はこちら 序章          10 11 12 13 14 15 16  

ぽてしゃんワールドと、かばぷーワールドの融合をどうぞお楽しみ下さい。










夢現刻物語 17 ~決戦~




その夜、帝都は混乱の渦に巻き込まれた。
帝都を揺るがす地震…北の断層が出来た時のように、また国の形を変えるほどの大地震ではないかとその揺れは人々を恐怖に落とし込んだ。

宿下がりを得て昔の小さな家に戻っていたキョーコも、強い揺れに体を強張らせた。

(城に戻らなければ!)

揺れとともに湧き上がる強い不安。
帝都を覆う、言いようもないほど悪意に満ちた魔法の気配。

揺れが収まりきらぬうちに、キョーコは城へ向かって駆け出した。
あちこちで火の手が上がり、聞こえる悲鳴。

城が見えたところで、キョーコの視界が突然歪み始め、黒い霧に覆われた。
地面を走っていた筈なのに、ふわり…ふわり…と宙を蹴るが如く足元が抜ける。

「何!?どうしてっ!!」

上下左右も分からぬキョーコの頭の中に、直接声が響いた。


『魔女よ…白き魔女よ…よく聞くがいい……』
「だ……誰!?」

『我が名はザメルザ…ククク…そう言ってもお前は分からぬな…』

闇の中 目の前に赤い眼をした狼が現れ、ぐにゃりとその形が崩れたかと思うと、ゆっくりと女の像を結んでいく。

「あ……!おまえは…!?」

『白き魔女よ…お前は何も知らず、ヒズリの城に住んでいる…哀れな者よのう…かつて多くの仲間がヒズリの手によって狩られたというのに…そして、お前の母も非業の末路を辿ったのは、すべてヒズリのせいであるというのになぁ…』
「多くの…?」

『愚かな…裏切っただけでなく、ヒズリにおもねるとは!!』
「違う…」

『違わぬ…!!お前たちは魔女でありながら、仲間を殺そうとした罪深き魔女の子孫!!おおぉぉぉ~~!!お前は、それはそれは、恐ろしい魔女の子孫なのだ!』
「違うっ!!」

『クククククッ……真実を知らぬ罪深きものは残酷よのう…“アレ”の命は間もなく尽きる…そなたが望んだのだぞ…“あれ”をな…』
「…あれ…?」

『長年、我に申してきたではないか……あれが欲しい…とな。』

その瞬間、キョーコははっきりと分かった。
“あれ”…とは、皇子のことだと…

『そう…あの皇子だ…お前が望んだのだ…あれが欲しいと…。望みどおり罪深いお前にくれてやろう?灼熱の炎に焼かれて抜け殻となったものをな…』
「皇子に一体何を!!?」

『ああ…そうだ…面白い事を思いついた……あれは『水の民』…お前を手にはできぬのだった……これは面白い!我の放つ毒によって、お前の皇子は灼熱の地獄の中で苦しみぬいて死ぬのだ…!!……お前をいやいや抱かねば、すぐにその命を落とす事になろう!!お前のせいでな!!』

キョーコの頭は混乱した。
今、ザメルザはなんと言った…?
自分を抱かねば、命を落とす…と?

『クククククッ…穢れた罪深い血を持つお前を抱く事など、あの皇子は出来るはずもないのだ。お前のように面白みもない貧相な身体など、抱ける筈もない!そして、見ているが良い、お前を抱けぬがゆえ、灼熱の地獄に焼かれ、痛みに悶え苦しむ皇子の様を!そうして、抜け殻となった皇子を存分に味わうがよい。』

「…な…んで…」

『もし、お前を抱かねばならぬのなら…クククッ…それはさぞ皇子にとって嫌悪に満ちたものであろうなあ…魔女を…悪しき血を持つものを抱かねばならぬとは、まるで生き地獄であろうぞ!!クククッ…はははっ…あははははははーーーっっっっ!!』


悪意に満ちた魔力の渦の中、キョーコは混乱した。
足元が抜けるような感覚が、いきなりぐにゃり…と身体を呑み込んで下へ、下へと沈んでいく。
ふっと視界が途切れ、景色を取り戻したとき街中を走っていた筈のキョーコは砦の丘にいた。

これだったのだ…砦の丘が、自分を呼んだ理由は…これだったのだ…

先の大戦で黒魔女を追い詰めるために人とともに戦った白魔女…
元は同じルーツをもつ白魔女と黒魔女…黒の魔女から見れば、白い魔女は裏切りの血を持つもの、すなわち、穢れた血を持つものに違いなかった。
ヒズリへの復讐のために自分が呼ばれたとしたら…


(皇子が…コーンが命を落とす…?私のせいで…命を……落とすの…?)

ザメルザの宣告は、重くキョーコに圧し掛かり、キョーコは声をあげて泣いた。









すぐに魔法団の結界の張られた宮殿
皇子の居室からは、怪しい匂いが漂っていた

「この匂いは…!?」

ベッドの上に青白く横たわる皇子に、ハダルをはじめ、多くの魔法団員が息をのんだ。
今なら分かる。これは痺れ薬だ。麝香や花の香りに混じって強い幻覚作用がある薬草の匂い…これは西の森の奥でしか取れない希少な霊薬であるキノコだ。

霧になって逃げたであろうザメルザの行く先を水晶で占う。
南の…運河を下った南方面に向かっている。

「皇子!皇子!お気を確かに!!」
「う…………ザメルザは…どこへ…?」
「殿下!ご無事で!!?」

「あの女を…ザメルザを…追うのだ!逃しては…ならぬ!」
「クオン皇子!」「殿下!!」
「ザメルザを…生かしてはおけぬ!!」

皇子はうすうす分かっていたのかもしれない。
ザメルザが自分を誘惑する間に、心を読み取っていた事に…
それでも誘惑を断ち切れず、ずるずると側にいることを許した自分。

大地がゆれた瞬間に真っ直ぐに自分とキョーコに向けられた憎悪に、このままではキョーコが危ないと…そう、直感した。

「皇子!そのお体では無理です!」
「いや、私は行く!行かねばならぬ!飛ばせ!飛ばしてくれ!!」

魔法団と騎士団はザメルザを追った。
移動の術を持つ魔導師の手により、皇子もザメルザを追った。
魔法団の張った結界を抜け出す際、少なからずダメージは与えた筈。それを頼みに追った。
南へと向かう黒い空には、いくつもの光の筋が伸びた。





海に面した断崖
吹きすさぶ風に煽られ、波が白いしぶきを散らす。

ザメルザは己の結界の中にうずくまる様にして海を向いていた。

「ザメルザ…?」
「ククククッ…ここまで追ってくるとは…よほど暇だと見える…」

ザメルザは既に肩で息をしていた。
ザメルザの張った結界と魔法団の張った結界が、その性質の違いに反発しあい、時空の揺らめきが見える。だが、ザメルザの結界は魔法団の結界に押されて、徐々に火花を散らして小さくなっていく。
これならば…ザメルザをしとめることができると、魔法団は呪文に力を込めた。

「ふぐっ…くううぅ…この命と引き換えに…大陸全土に大災害をもたらしてやろう…」

「やめろ!やめるんだ、ザメルザ!!」

「ヒズリの皇子よ…さぞかしヒズリに生まれた事が悔やまれるであろう?ヒズリの血を恨むがいい…お前の大切な国も…キョーコもこれでいなくなる………」

ザメルザは暗雲立ち込める天に向かって、真っ直ぐに手を伸ばした。

「ザメルザ!!ならぬ!!」

皇子はその身が傷つく事を恐れず、結界の境目に飛び込んだ。


「「皇子!!!」」

混ざり合う事を知らぬ、異なる理を持つ魔力がぶつかり合い、バシバシと火花が飛び散る中、皇子は初めてその力を放出した。
母から受け継ぎ、忌み嫌われてきた水の民の強大な力…
決して一生放つまいと心に決めていた力をザメルザに向けて放ったとき、辺りには光が飛び散った。


「ぐわああああああ~~~!!!」


断末魔の叫び声と同時に、皇子の身体が吹き飛んだ。

だが、その時、その場にいた魔術に触れる者たちは確かにザメルザの声を聞いたのだ。

『………いま…お前の体の中に、呪詛を埋め込んだ…。これからお前は灼熱の地獄に焼かれ、言葉に表せないような痛みの中を生きるだろう。そして、じきに死を迎える。………だが、それだけではつまらぬなぁ……。くくっ、くくくくっ…呪いを解く方法はただ一つ…裏切り者の血を持つ白き魔女、モガミ・キョーコを抱くがいい。何度も、何度も、何度もだ……!!一度や二度で済むと思うな……………お前が国のために生き残りたいのならば、アレを奪い、アレを汚し、一生その呪縛に捕らわれるが良い!やれるものならやってみろ、さすればお前も我と同じ、立派な悪魔だ!……………アハ、アハハ…アハハハハハ!!!……』

やがて当たりは静寂に包まれ、うずくまる皇子の身体からは、シュウシュウと大量の湯気が上がっている。

「皇子!!」
「う…ぐう…!」

その身体は熱を帯び、魔法団もすぐには近寄れぬほどの有様だった。

「すぐに城へ!誰か飛べぬか!?皇子!!」

「ハダル…う…ぅ……っ!」
「皇子!?お気を確かに!!!」



「今のは…他言無用だ…」


「皇子!?何と…!」
「呪いは……すべて私が受ける!誰にも呪いを解く方法を知らせるでない…よいな!!!」





(続く)
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2018/07/20 21:41 編集返信
かばぷー
Re: ここは映画館?
> GR○EN様

>「ここは、映画館?」

だなんてー!!映画館!映画館だと思ってくださったのですね。
もう、鼻血ぶーーーっっっ!!!(笑)

このお話は映画のつもりで書いているので、凄く嬉しいです。
きっと、完結後に見直すと、臨場感たっぷりの大画面で妄想していただけるのではないかと思っています。
ていうか、そういうふうに見てもらえると嬉しいなあ。

物語の中に登場した気分のお話や、映画館で見てもらうような話、こっそりと覗き見した気分のお話など、ちょっと時々趣向を変えて書いてみようとしています。(一応ね)
ですから、映画のようだと言っていただけると、嬉しくて、嬉しくて…舞い上がっちゃいます。
お褒めコメントを、ありがとうございます。

かばぷー

2018/07/21 08:00 URL 編集返信
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