恋しい夜 愛しい朝 2

(2018,5,4 改稿)







「ごめん、大丈夫?」

「…謝るのは、無しですよ?嬉しかったんですから。」

「そんなに可愛い事を言わないで?」

そこは、玄関脇にあるリビングのソファーの上
膝の上に大事そうにキョーコを抱えた蓮は、おでこに唇を寄せた。

情事のあとの気怠さよりも、今、ここに愛しい人がいることが嬉しい。
3ヶ月の空白は、先ほどの時間では簡単に埋めることが出来ないらしく、ただ抱き合ったままでいたいと思う。
このままずっと、二人だけの濃密な時間が続けば良いのに…とは思うのだが、


「あの…蓮さんは、お腹、空いてませんか?」
「ん?空いてないけど、キョーコは空いてる?」

「えと…」

キョロキョロキョロキョロキョロ~~~~

キョーコは自己主張しているお腹を慌てて押さえた。

「クスクス…空いてるんだね。機内食は?」
「う…寝過ごしまして…」

「ああ、それは残念。じゃあ、何か作ろうか。パーティーまでには、まだ、時間があるから。」
「う~~さっきまでは、胸が一杯だったので…」

「ぷっ…そっちを満たすほうが先だった?」
「んもう!自分でも破廉恥だと思うので、やめてください!さて、久しぶりなので私が作りますよ?」

「じゃあ、一緒に」
「はい!」


二人でキッチンに立つのも随分と久しぶりだ。
作って食べているという割には食材は殆ど無くて、簡単なものしか出来なかったけれど、それでもキョーコはちゃんと食べられるものを作った。




恋しい夜 愛しい朝 2





夕方からのパーティーに備えて、キョーコはシャワーを浴びた。

「ごめん、あまり近くに行くと、理性が働かないから…」

と、蓮は珍しくシャワーを一緒には浴びようとはしなかった。けれど、それはそれでキョーコは寂しい。
よほど蓮不足…というか、スキンシップが不足しているのか、少しだけでも、蓮とふれていたいというのが、キョーコの本音ではあるのだが、やはりそれは、男と女の性の違いであるようだ。

一緒に触れ合うだけで心が満たされていくキョーコと、触れると先へ進みたい蓮。

以前、敦賀セラピーと称して抱きしめてもらっていたのは、紳士のなせる業だったのか、それとも拷問だったのか…
今になって分かることが増えるキョーコだった。


シャワーを浴びながら、改めて家の中を観察した。
驚くことにこの家には、メインバスが一階に1つ、二階にサブバスとシャワールームがあるという、所謂豪邸だったので、流石に呆れた。
これならば、社だって一緒に住んでも差し支えなさそうだ。

そのほうがきっと便利だろうと思ったのに、キョーコがそう言うと、蓮は苦笑いして、「変な誤解を生みたくはないからね。」…なんて、そんな誤解は、この国ならではなのだろうか?まあ、それぞれにいろんな事情があるらしい。



一方蓮は、シャワーの誘いを受けて断るなんて、何と残念な…とがっくりと肩を落とした。
空港で出迎えてからこっち、キョーコのどんな姿にも、そそられるが、自分に言い聞かせるように、我慢、ガマン。と繰り返すなんて、まるで行をしているようではないか。けれど、これ以上キョーコに溺れると、外出が出来なくなりそうだったのだ。

流石に今日ばかりは、由緒ある映画祭に出ない訳にはならないからだ。

だが、バスローブを纏った風呂上りのキョーコは悩殺ものの色気を放っていた。
ふわっと香るボディバターの匂いに、理性の紙縒りがまたブチ切れそうで、悶々と悩む蓮をよそに、キョーコはスーツケースの中から、ドレスを取り出してクローゼットに吊るした。


「ねぇ、蓮さん、このドレスで良かった?」

「あぁ、キョーコ、それも良いんだけど、ちょっと見てくれる?」

蓮がベッドルームから取り出したのは、濃いブルーのイブニングドレスらしき品。

「それ、どうしたんですか?凄く綺麗な色…。素敵ですね。」

「うん。アール・マンディ氏がね、俺がキョーコをエスコートして出ることを知って、準備してくれたんだけど、気に入るかな?」

「え!?良いんですか?着たいです。着てみたいです。」

キョーコは嬉々として袖を通した。…が、ほんの少しだけ後悔した。

そのドレスは、ホルターネックで、カシュクール風のドレープが胸元でゆれるデザイン。
すそは緩やかに広がり、後ろにトレーンが広がる。膝下から、斜めにカットが入っているので足捌きが良いのだが、肩から腰の上までパックリと背中が開き、ヒップラインまでの身体のラインがモロに出る、色気たっぷりな代物だったのだ。


「む~~~ん、これは…相当際どくないですか?」

「…かなり、そそられるね。」

「ブラジャーも出来ませんし、カップとパワーネットだけって…うかポロしたらどうしましょう?」

「それは困るね。俺的には非常に好みの品だけど、誰彼をも喜ばせたいわけじゃないから。」

「なぜ、アール・マンディ氏は、私めにこのような代物を…」

「多分、いや、おそらく俺の紹介の仕方が、不味かったと…」

「ふむふむ、蓮さん…一体、どのような紹介を?」

「う~ん、ナツと玉鬘と、インターネットで仕入れた口紅のCM見せちゃったから…」

「それは…やっぱり、そういう大人イメージになりますかね?」

「そうなっちゃいましたね。ダメなら、これからティファニーか、ディオールに行く?」

「なんて、勿体無い事を!あ~~…でもコレと比較すると、持ってきたドレスは期待値の割に子供っぽいですよね?うーん、どうしよう…」


キョーコはちょっとだけ悩んでいた。
準備してくれたアルマンディが着たい。でも恥ずかしい。

「キョーコ、無理せずに買いに行こう?」
「む~~、ちょっと待ってください」

持ってきたドレスは、蓮チョイスで素敵なのだが、アールマンディのドレスと比べてみると明らかに子供っぽい。
勿論それはキョーコの年相応だとは思う。だからはっきり言って、新しく買ってもらうのも、ちょっとどうかと思う。
R・マンディ氏が準備してくれたのだから、ドレスコードは絶対にこれで間違い無いに決まっている。
しかも、イメージにあわせてデザインって…滅多にないことよね。


その身についた節約志向は、今だに抜けないのだから、新しく買うなんて言語道断!とばかりに脳内交渉は結論を出した。



「うーむ…。決めました!これを着て出ます!」

「…うん。じゃあ、それに合わせて、ブルーのタイにしよう。大丈夫、ちゃんとエスコートするから。安心して?」

そうと決まれば、すぐに準備に取り掛かる。
衣装を決めてメイクして、ヘアアレンジはどうしようと思っていたら、会場近くにミス・ウッズが来てくれるという。
これほど嬉しいことはない。

蓮も勿論、少しだけ光沢の入ったアルマンディのスーツに身を包む。
その姿は、いつに無い程、クールで格好良かった。

着飾ったキョーコは、やはり目を見張るほど美しくて、魅力的だった。
スツールに腰掛けてイヤリングを身に着ける仕草は、ベタだけど、色っぽくて、開いた背中に浮き出る肩甲骨やウエストラインに口付けたくなってくる。


軽くメイクしたところで、ふとキョーコは蓮を振り返った。

「口紅、つけちゃいますよ?どうします?」


小悪魔のように魅惑の眼差しで、蓮を誘う。

(もう、どうしてくれようか?)

外出の前で無ければ、朝までベッドに縫い付けるのに…。
蓮はキョーコのあごを指先で持ち上げて唇を堪能すると、胸元に赤いシルシを刻んだ。
もう一つは脇腹に、どちらもドレスの布にギリギリ隠れる場所に落とした所有印。

蓮の瞳にすうっと宿る魅惑の光。

ブラシで口紅を綺麗に引いて、キョーコは妖しく微笑んだ。




(続く)



妖艶な紳士、淑女スイッチ入れたった。
ホント今回妄想大暴走でしょ?(←いつもだよ)
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非公開コメント

とりあえず行き倒れない程度に互いを補給出来た二人。

残りの補給の前に、二人揃ったときの艶ピカ振りをお仕事でもイカさないとですね!Ψ( ̄∇ ̄)Ψ

妖艶な紳士、淑女スイッチ、ナイスオン!

続きも楽しみです。

Re: タイトルなし

まじーんさま

> とりあえず行き倒れない程度に互いを補給出来た二人。
>
> 残りの補給の前に、二人揃ったときの艶ピカ振りをお仕事でもイカさないとですね!Ψ( ̄∇ ̄)Ψ

補給は、大事ですからね〜。(^з^)-☆

余りにも欲情し過ぎて、キョーコちゃんが変な気を起こしちゃいけませんから…;^_^A
いや、浮気はさせませんよ。
疑う方です!

この先、満タンにして、日本に帰ってもらいます⁉︎
( ̄^ ̄)ゞ(⇦ぇぇぇ?どんだけ⁉︎)
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