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夢現刻物語 21

原作:ぽてとあげたい様 文:かばぷー による

「夢現刻物語」
(ゆめうつつのとき ものがたり)

第21話をお届けします。
前のお話はこちら 序章          10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 

ぽてしゃんワールドと、かばぷーワールドの融合をどうぞお楽しみ下さい。










夢現刻物語 21 ~すれ違う感情~





「キョーコ、治療を…命じる」
「………はい、殿下……」

そうして重ね合わせる身体。
行為を重ねるごとに、皇子の身体には少しずつ回復の兆しが見える。

あれから……週に一、二度ずつキョーコをその腕の中に閉じ込めてきた。

始めは罪悪感…次は背徳感…
いつも申し訳なさと表裏一体だったはずの行為なのに、いつしか皇子は欲望を抑えることができなくなっていた。

何度目かの行為で、キョーコの身体の変化に気付いた。
男性としての自分を受け入れている事に嬉しさを覚え、一晩で何度も求めてしまう夜が増えた。気を失うほど執拗に身体を繋げた後、意識のない身体を抱きしめて眠る…
愛を告げる勇気もなく、抜け殻のような彼女を抱きしめることしか出来ぬ自分が愚かしい

そして、いつも目覚めとともにキョーコの姿はなく、目覚めた後の体調のよさとは異なる喪失感が、いつも皇子を襲った。

国のために抱かれているキョーコは、絶対に嫌とは言わない。
それは、ヤシロの言うように国に対する献身なのだ。
身体の素直さとは裏腹に、キョーコは声をあげることを拒み、その手はいつも硬くシーツを握ったまま。
それが、何を意味するのかを皇子は分かっているつもりだった。








「殿下、今日は顔色がよろしいようですね。」
「あ…ああ、そのようだ。」

ヤシロがにこりと笑うといたたまれない気持ちになり、皇子は目を伏せる。

「ですが、あまり無理はなさらないで下さい。この前のように熱がぶり返しても困りますので、執務も控えめにしてくださるとありがたいのですよ…」

キョーコの治療が始まってから4ヶ月ほど経ったころ、ようやく自力で歩く姿を官吏たちの前に見せた事で、貴族も議会もホッと安堵の息を漏らした。
半年ほど経つと、皇子は執務を執り行い、朝議に参加できるほどに回復をしていた。

だが、確かに皇子の身体は格段に回復をしているように思える姿であっても、ハダルの見立てによれば、決して身体と心の奥底に渦巻いた黒い呪いの気配は消えてはいないというのだ。
それを如実に現すように、執務を何日か繰り返せば、また熱を出して倒れる…

未だに皇子の治療については伏せられ、黒の魔法にかかった皇子を、白い魔法を学んだ薬師のキョーコが治療している事になっていた。
どのような治療なのか、どのような薬湯なのかと人々は関心を示したが、皇族魔法団は秘して語ることはなかった。





「これは、これは……皇帝陛下。ようやくクオン皇子が回復なされ、我ら一同、安堵いたしました。」
「うむ、諸侯には心配をかけた。」
「此度の一件、帝国民、帝国議会は皇子に感謝しかございません。」

帝都の復興も速やかに行われ、以前と同じような賑わいを見せ始めている。
人々の表情にも明るさが戻り、皇子こそがザメルザの脅威から国を救ったのだと知って、民は勿論の事、貴族や議会も皇子の回復を願い、執務に戻る事を喜んでいた。
そんな中、皇子の回復を受け、帝国議会議会の面々は皇帝への謁見を申し出ていた。

「さすれば、皇帝陛下!例の一件で伸びておりました皇子の婚姻の儀、そろそろまた考えてもよい時期になったのではないでしょうか?」

「何と…?」

「一時期は我らもヒヤッと致しました…。なにぶん皇子はお一人のみ…このまま目を醒まされなければ、次期皇帝はどなたになるのかと…それを考えましても、皇帝陛下のお血筋を早くから残しておくべきだと思うのです。」
「……………」

「それが、我らの思いでござりますれば、議会は一日も早く婚姻の儀を執り行う事を勧めます。」

議長の言う事ももっともだった。
だが、キョーコの治療の内容もさることながら、現在どのような状態にあるのかさえ公にはされていないのだ。それこそ年単位での浄化になるのだとは…到底口には出せない。





「陛下……………」

貴族たちが退出した後、カレンタは涙を流した。

「このまま、クオンの婚姻を進めれば、キョーコは…どうなるのでしょう?今もまだキョーコを城内にとどめたまま…。そして、クオンがキョーコを手放す事ができない状態にあります。キョーコをこのまま…縛り付けてもよいものでしょうか?私たちがあの娘の未来を奪っているのですよ!」
「カレンタ…そうではない。クオンが…キョーコを必要としているのは紛れも無い事実だ。」
「けれど!キョーコの気持ちは?辛そうなあの娘を見るには忍びないのです。」
「………」

キョーコの献身は確かに目に見えて感じる事ができる。
皇子を心から労わり、惜しみない愛情を注いでいるではないか。
けれど…時折見せる悲しげな瞳は何を思い、何を物語るのか…

皇帝は何も言う事ができなかった。









「キョーコ、今いいかい?」
「あ…ヤシロ様、どうぞ。」

ヤシロはキョーコの控える女官部屋を久々に訪れた。
皇子の治療に当たるようになってから、できるだけキョーコとの対面は控えている。なぜなら、皇子にいらぬ心労を与えないようにするためだった。

「今日はどうなさったのです?」
「うん……実は、不味い事になっている。」
「不味い事……?」
「そう…。今日の貴族会議の後、ある議員が皇帝に述べたのだ。皇子の婚姻の儀を勧めるように……と。」
「…………」

「気になるのはその後だ。貴族の中にはキョーコの存在が婚姻に差し障ると考えておられる方もあると聞いた。…正直に教えて欲しい。殿下の容態はどのような状態との見立てなのだ?」

キョーコは小さく溜め息をついた。

「ハダル様は……まだ、呪詛は消えておらず、何年もかかると……」

キョーコの目から、ほとり…と雫がこぼれた。

「でも……皇子が婚姻をなさるならば、今がその時なのかもしれません。私は…殿下のためならば、何度でもこの身を捧げます。でもっ…嫌々私を召されるよりは、殿下が…国のために必要とされる時だけでよいのです。これ以上…殿下の重荷になるのは、嫌です。……むしろ、苦痛に感じていらっしゃる時間は、短いほうがよいのですから……!」
「キョーコ………!?違う!」

ヤシロがそう言っても、キョーコは顔を覆って首を横に振るばかりだった。
そうではない。皇子はずっと小さな頃から、それこそ自分と出会う前からキョーコを欲していたのだ。皇子がキョーコを必要としていないなど有り得ない。

だが、それを上手く伝えるすべはない。
皇子もまた、キョーコと自分に対する罪悪感で病んでいるのだと知っていたから。

“国のために、キョーコを抱き続ける皇子…”
“国のために、皇子に抱かれるキョーコ…”

本当はそんなもの存在していない、いや、存在させてはならないのだと、ヤシロは言いたかった。

けれど…互いに深い愛情を持ちながら、決してその気持ちを伝える事ができていない二人の溝は深い。
皇子としての立場に縛られ、キョーコを求めていながらもそれに蓋をし続けてきた皇子。
皇子を求めながらも、身分違いをひしと感じ、ザメルザの呪縛に捕らわれてしまったキョーコ…

身体を繋げていても、すれ違ったままの心のままでは、いずれ二人とも病んでしまう……。

ヤシロには為す術がなかった。





(続く)




今回もまだ…… (;д;)
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  • 2018-08-17│21:54 |
  • [edit]
Re: タイトルなし
> G○EEN様

コメント、ありがとうございます。
凄くねじれ拗れ、ここまで捻れるのか~っていうのを今回頑張りました。
おおまかな設定はいただいているので、どんな風に進めていったら、ぽてしゃんっぽくなるかしら?なんて考えながら練り練りしたものにございます。自分だけでは難しかったので、こんなふうでどうでしょう?みたいな相談はさせていただいたのです。お楽しみいただけたなら、嬉しいな。
見事な融合といっていただけると、本当に小躍りします!
お付き合いくださり、ありがとうございました。

  • 2018-08-18│13:40 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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