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夢現刻物語 22

原作:ぽてとあげたい様 文:かばぷー による

「夢現刻物語」
(ゆめうつつのとき ものがたり)

第22話をお届けします。
前のお話はこちら 序章          10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 

ぽてしゃんワールドと、かばぷーワールドの融合をどうぞお楽しみ下さい。


※あちらに関しましては、皆様に大変なご迷惑・ご心配をおかけし、申し訳ございません。
不義理をいたしました事、深くお詫び申し上げます。











「これはローリィ卿、今日はいかがなされた。」
「親愛なる皇帝陛下、本日はタカラダ領主として皇帝陛下にお願いがあって参った。それを……聞いて頂けるか?」

いつもは飄々として掴みどころのない彼だったが、領主として、そして盟友として皇帝は彼を信頼していた。
そして、珍しく神妙な顔をしたタカラダ領主、ローリィ卿に皇帝はうなずいた。


「…………聞こう…」






夢現刻物語 22 ~求めてやまぬ心~







議会の提案したクオン皇子の婚姻を再度進める件は、じわじわと国内に広がっていった。帝都ツルガでは、街の復興を象徴するような皇子の回復を喜び、結婚の儀を望む声が人々の間で飛び交うようになっていた。





「キョーコ……どうした?」

意識を半ば飛ばしかけたキョーコに皇子は問うた。

「いえ……何でも……」

「何でもないことはないだろう?何故………泣く?」
「泣いているわけでは……」

皇子はキョーコの涙をそっと拭いた。
無理を強いているのは重々承知していた。こうやって抱かれている間にも、何も逆らうことなく皇子の要求を受け止めている。
けれども、抱かれながら涙を流したのは、あの夜以来の事だ。



「いつも無理をさせて、すまぬ……」
「無理などと、そのようなことは……」


静かに涙を流すキョーコを慰める言葉は見つからない。
髪を梳き、頬を撫で、口付けを交わして「愛している」と言えたなら、どんなにいいかと何度思った事だろう……。



「よい、申してみよ……」
「…………」

「キョーコ……?」

キョーコは一度瞑目すると、意を決したように紅茶色の瞳を皇子に向けた。

「しばし…城を離れる事をお許しいただきたいのです……」
「……な!?」

皇子はその言葉をすぐには飲み込めなかった。

「城を…離れる……?」

ゆっくりとキョーコは身体を起こすと、そばにあった薄いガウンを羽織った。

「ずっと…というわけではございません。今、殿下の体調はすこぶる安定をしています。ですから……少し期間をあけて、殿下の元に参ります……。それと殿下が私を必要とされるとき、すぐにでも飛んでまいります。ですから……」

何故、キョーコは突然にそれを言い出したのだろう?

もしや……?


「母に……、何か…言われたか?」

ふるり…とキョーコは頭を振った。

「では…父か?」

そしてまた、頭を振る。

「では何故だ?何故、城を去らねばならぬ……?」

呆然と問う皇子に、キョーコはゆっくりとその身を伏した。



「恐れながら、殿下の最近の復調のご様子を民は大変喜んでいるのを、殿下は………ご存知でしょうか?」
「そうだな…執務に戻った事を、喜んでいると貴族たちが………」

まさか…その話が、キョーコの耳に?
いや、有り得ないことではない。
ならば、キョーコが考えそうな事は、ただ一つ……



「お願いでございます…………どうぞ后となる方を娶り、御子を……もうけてくださいませ…。皇子は国を守り、国を支えていかれるお方。私のような者が御側に控えていては、婚姻に障りがでましょう…」
「ならぬ!!!」

「……っ!??」


皇子は強くキョーコを抱き寄せた。
はじめて塞ぐ唇
望まぬ言葉を塞ぐためでなく、愛を請うために塞ぎたかった。
身体は繋ぎ合わせても、愛を請うことも……愛を告げることも憚られた唇を、今、求めた。
舌を絡ませ、漏れ出る吐息も全てが…欲しいと思った。


「ん……ふっ……ぅ……」

苦しそうに押し戻そうとする手のひらを掴み、指を重ねた。
細い指を握りこんで、その身体を強く抱きしめた。

そう、はじめて、抱きしめたのだ。



「………愛している……」
「……!」


「……そなたを……求めるのは、国のためなどではない!」


皇子の翡翠の瞳が、キョーコの瞳を捕らえた。




「…愛しているのだ……キョーコ…」


ビクッとキョーコの瞳が揺れた

「ずっと…ずっと、言いたかった。そなたを…愛していると……」



二人の間に無音の時間がしばらく流れ、ゆっくりとキョーコを引き寄せた。
優しく額に口付けたその時、皇子の金の髪を、ふわり……と指が撫でた。


ゆるゆると…いとし子を慰めるような弱々しい力は、温かく皇子を包み込んでいく。



「キョーコ………」
「……………私は…、皇子に愛されているのですか…?」


「愛している」



「皇子に愛されたいと……口に出していいのですか?」


はらはらと涙をこぼす目元に唇を添える
それでも、キョーコの目からは涙が溢れる



「………愛している…ずっと前から…キョーコだけを…」



皇子を撫でる手が縋るように背中に回った。



「コ…ォン……」













「皇帝陛下、…話があって参りました。」

執務室にいた皇帝は、その顔を上げた。

半年…傷だらけの身体と痛みで苦しみ喘ぐ皇子を見てから半年が経つ。
その間、諦めることなく皇子を癒し続けたのは、偉大なる白魔女の力
決意を見て取る事が出来た美しい皇子の顔には、もはや皇帝の風格さえ漂う。

「なんだ?改まってどうしたのだ。」

皇帝の声は、どこまでも穏やかだ。

「私と…モガミ・キョーコとの婚姻をお認め下さいと申し上げるために参った次第です。」

その曇りなき瞳は、真っ直ぐに皇帝を見据えている。

「ふむ……キョーコは清き白の魔女の末裔。それを世間に公表してでも、妻に娶りたいと申すか?」

「たとえそれが許されないとしても。」




そう告げる皇子の瞳には、もう一片の迷いもない。

「ふ……認めるも何も、何を言っても、そなたの意思は揺るがぬのであろう?クオン…」
「父上…!」

皇帝は、柔らかい笑みを浮かべた。

「何故、私がそなたらの婚姻に反対すると思うた?時期が来れば、そなたが誰を選ぶかに関して、無理を言う事はせぬ…と申したはずだったが?」
「父上……」

「もとより、そなたの心の内は知っておった。それは、カレンタも同じだ。……ただ、あれには議会を混乱させてしまったという負い目があるのでな…。今回は、そう混乱する事はあるまいよ。」

「……それは、いかなる理由でございますか?」

「ローリィ卿が訪れてな……」

クスクスと、皇帝の微笑む様は随分と久しぶりに見る。

「そなた、あれと商売の契約をしておったそうだな。」

一国の皇子と領主の個人的な契約など、いちいち皇帝に報告するほどのことでもあるまいと密かに交わした契約は確かにあった。
だが、その契約を今頃持ち出すとは…?

「くっ、くっ…そなたからの預かり物を、いい加減処分したくなったそうだ。」
「………!?」

「そなたが奴に預けておったものを置いていった。あの様子ならば、議会の票はとうにまとめておろうよ…。全く、あの狸じじぃめ……。」
 
珍しく憎々しげに語る皇帝の姿は、肩の荷が降りたように清々しい。

「ただ……心配事は一つ残っておる。」
「ヤシロの件…ですね。」

「うむ、それをうやむやにはできまいな。カレンタの心配事もそこにある。」
「………暴君と呼ばれても致し方ありません。」
「ふ…為政者とは皆、ある意味暴君であろう。ただ、ヤシロを失うは得策ではないが……」
「誠実に話せば、ヤシロは理解してくれると信じています。もし違ったとしても、どんな責め苦も負いましょう。キョーコを失う以上の悲しみは私にはないのですから。」

そなたならば決して暴君にはなるまいよと、信頼できる官吏に恵まれた皇子を頼もしく思える。

「ハダルを呼べ。魔法団によき日を占わせよう。それと、アサミ…秘書官を集め、結婚式の準備を致すよう指示を。」
「その件について陛下にもう一つお願いがございます。」

ん?と皇帝が訝しげにすると、皇子は輝くような笑みを浮かべた。

「それについては、できるだけ最短の日程でお願いしたいのです。」







(続く)
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2018/08/25 09:14 編集返信
かばぷー
Re: タイトルなし
> GR○EN様 

応援コメント、ありがとうございます。
最近はもう愚痴ばかりでして、でも、あっちはいろいろと情報が載ってましたからね。とりあえず逃げとくに越した事はないとの結論に至りました。でも、お察しのとおり、吐き出す場所はないと困ります。今度はこっそり続けます。

さて、思惑通りになっているのか!?気になるところでしょうね。でも、私のお話は直球しかないので!(←自慢か?自爆か?)ご想像にお任せします。

かばぷー

2018/08/25 10:56 URL 編集返信
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