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夢現刻物語 24

原作:ぽてとあげたい様 文:かばぷー による

「夢現刻物語」
(ゆめうつつのとき ものがたり)

第24話をお届けします。
前のお話はこちら 序章          10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 

ぽてしゃんワールドと、かばぷーワールドの融合をどうぞお楽しみ下さい。









夢現刻物語 24 ~夢現の刻の終わり~





婚礼の日

白いドレスをその身に纏ったキョーコは、光り輝く皇子の隣に相応しく、溜め息がでるほどの美しいオーラを纏っていた。

キョーコが身につけたのは、“返された預かり物”だというティアラ…

ずっと…キョーコに相応しいと思う玉を求めながらも、長い間タカラダに預け置き、ようやく贈り主を得たそれは、さながら宝石をちりばめた花冠のよう
ところどころに嵌った薄桃色の玉が、シロツメクサの隙間を彩る花のように映える。

帝国の危機を救った英雄たる美しい皇子
水の民への不信感など、今の皇子を見れば誰が不満を訴えるなどというのだろうか。

そして、瀕死の皇子を救った清き白の魔女
魔女としての資質を持ちながら、血に奢ることなく勤勉に学び、皇子を救ったキョーコは、皇妃として相応しく匂いたつように美しい。

互いに寄り添い、見つめ合う二人の姿
愛と信頼以上の何かを感じる


婚姻の儀とともに、即位の儀を終えたその日、帝都は歓喜の渦に包まれた。








1年後



砦の丘には、皇帝となったクオンと皇后となったキョーコが揃って立っていた。
キョーコの腕の中には、小さなおくるみのなかで、微笑む天使がいた。

(感じる…)

キョーコを呼ぶ声は、亡者の恨みだと思っていた…
けれども、“それ”ではないのだと、今はもうはっきりと感じる。

今か、今かと待ち続けた、生命の息吹

キョーコは静かにその唇に歌をのせた。



“泣かないで…大丈夫…
 悲しみも、嘆きも癒してあげましょう…
 さあ、飛び立ちなさい…思い思いの場所へ…
 さあ、行きなさい…幸せを求めて……“




愛し子を胸に抱いたキョーコが陽の光に照らされて、高らかに歌う…


そして、一陣の風がさあーっと頬を撫でた。

草花は露を払い、むくりとその身を起こし、タンポポは綿毛をふわり…と空に放り投げる。
緑の草原に赤、白、黄、青…目にも鮮やかな色とりどりの花が、そのときを待っていたように一斉に蕾を広げた。

翡翠の目をした愛し子が、天に昇っていく淡い光を目で追いかけて、きゃっきゃっ…と手を伸ばして笑う。


「皆、この国の安寧をこれからも見守ってくれるだろうか?」

クオンが静かに語りかける。

「ザメルザは…救われたがっていました…。そして、ずっと求めていました。」

クオンは静かに頷いた

「確かに、ザメルザのしたことは、許される事ではなかったのかもしれません…。けれど、子を思う母の気持ちは誰しも同じ……いつも、いつでも子が幸せに暮らせるように……たったそれだけの願い。これからは、私たちが守らねばならぬのです。この国に住まうすべての民の幸せを……」






―――クオンがキョーコに愛を告げた日
はじめてキョーコは皇子の背に手を回した。

慈しむように、喜びが伝わるように…

そして、口にした。

―――喜びの歌を…

決して人前では歌ってはならぬと硬く禁じられていたもの
それは、母からは教えられることのなかった、真の白魔女の力

ほんの小さな音が唇から飛び出したその瞬間、皇子の身体にぽうっ…と淡い光が灯った。
脈打つ心の臓に灯る明かりは少しずつ明るさを増し、背中からまるで草木が蔓を伸ばすように、ゆっくりと立ち上っていく光のオブジェ

皇子は自分の中に灯る明かりに目を疑った。

身体の中心から神経の張り巡らされた身体のすみずみまで、じんわりと暖かな光で満たされていく。



「キョーコ………これは………」

「クオン…きれい…」


やがて、その光が少しずつ消え、辺りには静けさと月明かりが落ちた。


「何が……起きたのでしょう?」
「わからない…君も?」
「………はい…、何がなんだか……」

二人は、顔を見合わせた。

「なんだろう?凄く…生まれ変わったような気分がする。」
「……私も…なんだか、不思議な気持ちです。」


ふふふふ……ふふ…
凄く幸せな、温かい気持ちが満ちている

いまなら、素直になれるかもしれない。




「殿下………殿下に、伝えなくてはならないことがあります。」
「うん、何……?」

「あの……ですね。城を離れたいと言った理由が、実はもう一つありまして……」
「うん、離す気はないけど…」

「あの…でも…、その…頻繁には…もう…」
「頻繁に…?何が?」

「えっと…呼ばれた際には、変わり身人形で何とかしようかと思ってたので……」
「人形?人形で何するの」

皇子はいきなりキョーコが何を言い出したのか、理解に苦しんだ。
そして、当のキョーコは顔を赤らめて、あ~~だの、う~~だの唸っている。



「…どうしたの?言って、困る事?」

真剣に問う皇子の眼差しに、思わずキョーコは顔を両手で覆った。




「う~~~~~~~……月の障りが……しばし遠のいているのです……」



「………………月の……?」
「……………(コクン)……」

「………!?何故それを早く言わぬ!」
「も…申し訳ございません……」

皇子はキョーコを優しく、つとめて優しく抱きしめた。


「もう…離さない。絶対に」
「……………はい…」

「絶対に、君を離さないから。」

「………は……ぃ。」













「よい風が吹いた。キョーコ、城へ戻ろう」
「はい、陛下」

そうして、歩き出した二人は、また砦の丘を振り返る。


数多の魂を見送り、夢現の刻は終わりを告げる
これから先、二人が歩んでいくのは確かな未来


そこには穏やかな日差しが差し込むだけ…








(夢現刻物語 FIN)










思いついてから、早半年…もっと早く出さんかい!と思われた方もあったでしょうが、ここまで辛抱強くお付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました。

一つのタイトルでのお話は、勿論我が家では最長記録でございます。
原案を下さった、ぽてとあげたい様 お蔭様で無事完結を迎えることが出来ました。
本当に素敵なお話を下さり、感謝申し上げます。

とても書いていて楽しく、ああでもない、こうでもないと凄く話が膨らんでしまいました。読みにくい場面や描写もあるのですが、二時間映画のようなイメージで読んでくださるといいかなあと思っております。


兎にも角にも、夢現刻物語 完結でございます!
ありがとうございました。



かばぷー
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非公開コメント

ありがとうございました。

すごい……………あうぅ……………すごいです。本当にもう、すごいのひと言。すごい……!!!、しかない。

涙出た……………うぅ〰〰。
鳥肌もすごいし………。

なんだか、優しいし、厳しいし、強いし、切ないし、やるせないし、温かいし、悲しいし、ほんのり光ってるし……………

いや〰、私のもやもやイメージがこんなことになるとは。
こんな、こんな素敵な映画小説になるなんて。

感謝と感動と、感服と。

本当にありがとうございました!!!

ありがとうございました!

かばぷー様

完結おめでとうございます!
素敵なラストに感無量で、ありきたりな言葉しか出てこないのがもどかしい‥
心優しいキョコさんのこと、ザメルザを放置な訳はないと思ってましたが、なんて美しい情景でしょう‥映画館で映画を見終えたような、爽快さと終わってしまった寂寥感を味わいました。
ぽてと様との素敵なコラボ、本当に楽しませていただきました。
壮大なお話、本当に本当にありがとうございました!

Re: ありがとうございました。

> ぽてとたべたい&ぽてとあげたい 様

無事完結しましたー!!!
こちらこそ、ぽてしゃんには原案をいただいた上に、あらすじチェックまでお願いしまして、ありがとうございました。
最後の方は何度も修正したので、若干違う仕上がりになりました。

イメージは凄く膨らむのですが、それを表現する言葉も、補う言葉も見つからなくて四苦八苦しました。光とか闇とかを文章化するって、本当に難しいですね。けれど、こうやって皆様が喜んでくださったので、嬉しい限りです。
最終話のイメージは“ほんのり光ってる”これに尽きます。(←凄く嬉しかったです)

ぽてしゃんの世界観と背景があって書けたお話です。
もやもやを形にするという、凄く、凄ーーく貴重で、楽しい経験が出来て幸せでした。
自分で書いといてなんですが、これ、真剣に映画風小説だと思ってます。
原作&励まし&チェック&コメント、ありがとうございました。

Re: ありがとうございました!

> komugi様


ねぎらいとお褒めの言葉をありがとうございます。
素敵なラストと言っていただけると、とても嬉しいです。皆様の脳内妄想をこれでもかとフル稼働していただけたのではないでしょうか。映画を見たような感じと言っていただけると、本当に嬉しくて、書いて来てよかったなあ~と、改めて思います。
ザメルザは、ぽてしゃんにとっても私にとっても憎めないキャラでした。
背景がかわいそう過ぎて…恨んでも仕方ないよね…って。(またあとがきなどで紹介しますね)
すばらしい原作があったからこそ、書き上げる事ができたこのお話。
最後までお付き合いくだり、ありがとうございました。

お疲れ様でした(//∇//)

長編お疲れ様でした。
すれ違いだったのがめでたくハッピーエンドになってよかったです(๑>◡<๑)
ヤシロさんと結婚するとなったときにおや?と思いましたが、、、やはりヤシロさん!!大事な人でございましたね(((o(*゚▽゚*)o)))♡
2人が末永く幸せであることを♡

Re: お疲れ様でした(//∇//)

> あやめ 様

ねぎらいのお言葉、ありがとうございます。

ヤシロさんと結婚って言うのは、序章(ぽてしゃんのお話)のところから、「ん!?」って、疑問に思いますよね。
勿論、大切な人だからこそ…っていうのは分かりますが、兄妹という関係とはパラレルならではの設定でした。

二人がこれから幸せな国つくりをしていくのは、決定事項でございます。
お楽しみくださり、ありがとうございました。
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かばぷー

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