絵画と裸体と承認欲求5

harunatsu7711様からのリクエスト

最終話(一応)でございますよ!!
どうぞお楽しみくださいませ♪







「やあ、最上さん。偶然だね。」
「!!?こっ…コニチハ……」
「こんにちは。……って、どうかしたの?」

ある日、学内で偶然彼女とすれ違った。
講義室からでてきた俺と、ばったり会って声をかけただけなのに、赤くなったり青くなったりしながら、じりじりと後退する彼女……

「?……一体どうし…」
「!………破廉恥が服着て歩いているなんて、反則です~~~!!!」




絵画と裸体と承認欲求 5




「ふ~~~~~ん…で、最上君の卒業課題のモデルをお前が引き受けたという事なんだな?お互い納得ずくで。そういうことでいいんだな?」
「ええ、その通りです。」
「へえぇ~~~っ、ほおぉお~~~~っ?彫像科の君が、油絵科の最上君のねえ?」
「いけませんか?彼女を社さんに薦められたので、始めたのですが…最近は描画中にいちいち叫ばなくなったので、進歩ですかね。」
「おっほぉぉぉ~~~?服着た破廉恥…なお前なのに?」

「(!!??)宝田先生………一体、何を仰りたいんです?」

懲罰委員会の聞き取りは極めて予定通りで、そして、極めて…嫌味(?)に満ちていた。




「全く!!あの人は…俺が懲罰委員会にかかってるのを喜ぶなんて!しかも、俺があの子のモデルをするのが嫌なら、嫌といえばいいんです!」
「あははははっ!むしろ逆、逆!目がさ、こ~んなの、になってただろ?」
「ええ、まあ…」
「そら見ろ、他には何て?」
「……で、お前の作品はいつ仕上がるんだ?とか何とか…」
「プッ…まあ、そうだろ?なんだかんだ言って楽しみにしてるんだよ。彼女の作品も、お前の作品も……」
「なら、いいですけど…社さん」
「どした?」
「最上さんの卒業課題、当然公開するんでしょう?」
「まあ、一応な……何?」
「いえ、俺がモデルをしている事がわかると、作品展でいろいろといわれるのではと彼女が心配しているので」
「杞憂だな」
「言っておきます」

「………(へー、そういうこと、言えるような関係になったの…)」

「何です?」
「いんやぁ~…何でもないよぉ~…」
「宝田先生といい、社さんといい…、一体何を期待しているんですかね。残念ながら、そういう関係にはいたっていませんよ。」

「……………~~~~~~…」

「何ですか、そのリアクション…まるで残念なモノを見るみたいに」
「……残念なモノを見てるんだよ…今日だって、なんだか可笑しな事、聞いたぞ?」

「……(はぁ)…服着た破廉恥…って、何なんでしょうね?何もしてないのに…」
「何もしてないけど、色気駄々漏れだってこと何じゃないの?服着てるくせにさ」

「失礼な」


そう、彼女との関係はまだ、そういう関係じゃない。
ようやく、まともに顔を見てもらえて、ようやく、上半身裸になっても、悲鳴を上げなくなった程度だ。
けれども、「口」以上にものを言う彼女の表情は、時折俺にとって嬉しいものを見せてくれる。だんだんと会話も楽しめるようになってきた今、いつまでもこのままでいる気は、実はもう更々ない。
彼女がどんな気持ちでいるにしても…だ。




「敦賀先生って、お身体を鍛えていらっしゃるとか、お手入れをなさっているとか……ですか?」
「いや、特に何かしているわけじゃないけど、何?」
「いやぁ、綺麗な身体だなあとしみじみ……」

スケッチブックに鉛筆を走らせながら、初めて気がついたように呟く。
初めてそんな風に言ってもらえた気がするな…でも、そんなふうに思っていると、うすうす感じてはいたけれどね。

「そう?ありがとう。もう一度、触ってみる?」
「ひょっ!?むむむむ…無理です!」
「破廉恥だから?」
「当然です!」
「でも、服を着ていても破廉恥なんだろう?」
「ぎゃっ!!!それは!!たたたた…大変失礼致しました!!」
「どういう意味かな?今日の懲罰委員会でも聞かれたけど?」
「すすす…すみません!!まさか、学内でお会いする事があると思ってなかったので、心の準備が出来てなかったんです!!」
「ふぅ~~~ん。心の準備…ねぇ?」
「はひっ!!ここ(アトリエ)でしたら、少しは慣れたと思ってたので、油断しておりました!!どどど…どうかお許しを!」

「へぇ~…顔を見るだけで、破廉恥な姿が脳裏に浮かんだってこと……」

そう小さく呟きながら、俺は意地の悪いことを考える。

「それなら、目を瞑って触ればいいんじゃない?」
「え……」
「だって、顔を見ると脳裏に浮かんでダメ…なんだろう?」
「う…」
「なら、目を瞑っていれば?破廉恥な顔が目に入らないほうが、集中できるんだろう?」

ほら、目が泳いだ。悩んでる、悩んでる……

「どうぞ?とりあえず、慣れることを決めたんじゃなかった?」
「う……、では、失礼して………」

真っ赤になって、眼を瞑って男の裸をまさぐるだなんて、そりゃ破廉恥に決まってる。

「でも、これが…何の役に…」
「質感」
「………はあ、…質感…」
「油絵も彫刻も同じだよ。五感で感じた事を表現すればいいんだ。それに君は、本当はもっとちゃんと観察したいと思っているはずだ。」

「………っ!?」

「目をそらさないで。もっと、ちゃんと見たらいい。もっと、ちゃんと感じたらいい。君が俺をどう感じて、どう作品にするのかをちゃんと見届けたいから。」
「……!」

うん、そういう気の強い顔もいいね。
負けるもんか!って、顔に書いてある。
でも………そうだな。揺らいでいる顔は好きだな…真剣な顔も、戸惑っている表情も……うん、いい。

そう思っていたら、つい、彼女の頬を撫でていた。

「………つ…るが先生……?何を…」
「うん、撫でてる」
「いや…でも…」
「うん、君の感触を確かめてる。困る?」

「……こま…」
「…うん?」

「…………らないわけ、ないでしょー!!!」

おっと、失敗。

「な…何ッ…、何て破廉恥な触り方をなさるんですか!?」
「でた、破廉恥…。そんなに破廉恥だったかな?」
「はっ…はっ…破廉恥です!」
「そうか、そうか、ごめんね。でも、ようやく分かった」
「何が……」

うん、分かった。
木ではなかった。
………うん……分かった。

俺は、真っ直ぐに用意していた丸太に向かい、それを元の場所に置いた。

「丸太を削るんでは…」
「違った」

「……違った?」
「そう、形になりたがっていたのは、こっち……」

代わりに作業机に置いたのは、薄青色をした石

「青田石?」
「正解。この中に君がいる。」

「私……?」
「そう、今見えたから」

そう…はっきりと見えたんだ。
うつ伏せになりながら、少し照れくさそうに微笑む君の悩ましい姿がね。
これを形作るには、少し……いや、かなり協力してもらわないといけないな。

その前に、まずは卒業課題の作品完成だ。

宝田教授の卒業課題は“セクシーなの”のはずだろう?
今はまだ、君の画の中にはただの綺麗な上半身、というだけの俺の姿
セクシーとは程遠いんだ。

まだまだ、君に教えたいことは山ほどある。
君に感じて欲しいことは山ほどある。


「協力…してくれるんだろう?」
「うッ…ここまで描かせて頂いたからには、協力しないという選択肢は…」
「ないよね?」

怯えてるな…怯えさせたいわけではないよ。
けれども、ふいに君の揺らいだ気持ちが一つの方向に向かう。
決心が揺らがなくなった途端、ぐっと拳を握り締めて強い視線で見上げる君の逞しさは…凄く好ましいね。

「は…い!不肖、最上キョーコ、敦賀先生の作品制作に向けて、協力を惜しみません!!」

あ~あ、惜しまないとか言っちゃったよ。
言質取るけど、いいかな。

「そう?惜しまずにやってくれるんだ。嬉しいな」
「………!??」

キュラッキュラの笑顔を向ければ、何だ?その避け方…何気に傷つくな。

「一体どんな反応……」
「心臓に悪いです!痛いです!刺さります!」

まあ…刺してるつもりだから、確実に。
でも、そういう避け方じゃない方が、俺としては嬉しいんだけど、純情乙女な破廉恥さんには、まだ無理かな。
ま、破廉恥が服を着ているなどと叫ばれないだけましか。

でも、分かってる?
破廉恥なのは俺じゃない。
俺を破廉恥な対象として見ている君の思考だって言う事を…

「そうだな…ここには思いのほか君になりたがっている石と丸太がたくさんだ。ゆっくりと、欲しい表情はいずれもらうとして…とりあえず、君の作品を完成させよう?………とってもセクシーで、いかがわしくて……破廉恥なやつ」
「んなっ!!!」

わなわなと震える君の瞳の中に、ほんの少しだけ、誤解しそうな光を見出す。
その光を逃さぬように、その光がもっと君の自信につながるように、これから少しずつ育ててあげるから…。だから、君は君の中にわずかに芽生えた、その破廉恥な感情を認めてあげて?

「…さあ、描こう?破廉恥だっていいじゃない。いい加減、芸術ってそういうものだと認めよう。そして、君も認めたらいいさ、君の描きたい欲求を……君が描きたいように、君の心の赴くままに…ね?」






(絵画と裸体と承認欲求 END)






別館拍手一番乗りありがとう!なリクエストでした。
因みに、どのようなリクエストをいただいたかというと、こちら↓になります。

美術大学の生徒であるキョーコ。
卒業に必要なのは、男性モデルのセミヌード姿を描いた絵画の単位。純情乙女天然記念物キョーコには、モデルになってくれる男性の知り合いなんて皆無。にっくき幼馴染みのショーにモデルを頼むのは嫌だし、、、。
そんな悩みを、彫刻科の敦賀先生に相談したところ、ニッコリ似非紳士よるの帝王スマイルで、俺がモデルになるよ、、、なんておっしゃる。
立体感出す絵画のためにさわっていいよ、とかいいながらキョーコさんに迫る敦賀さん!いかがでしょうか?
放課後、二人だけで密室教室で過ごす時間には、萌えます~


萌えシチュエーションのリクエストをありがとうございました。
今回、いただいたリクエストから場所をちょっとだけ変更。
実は、現在多くの国公立大学は(私立もかな?)研究室や講義室が明け透けで、外から丸見えの研究室が多くなっている傾向のようです。その関係で、場所は個人所有のアトリエに移しました。

上手くまとまってたら、嬉しいな♪
これの続きは明後日UP。番外編は限定編。
期待……する?……しちゃう?かな? END)
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

期待...しちゃうしちゃうっ!(/ω\*)

ハレンチが服着て歩いてる敦賀さんとハレンチだと言いながら裸の敦賀さんをまさぐり触りまくるキョーコちゃん...だとΣ( ºωº )!?

番外編は限定なんて期待しちゃうなんてものじゃないですよーっ!!(*/ω\*)キャー!!
かばぷー様ってばーっ!( ´艸`)ムフフ

石はどんな形になりたがっているのでしょう?キョーコちゃんの形になりたい物がたくさんあって協力惜しまない宣言なんてしちゃったら蓮さん自重なく視姦...じゃなかった!観察しちゃえますね☆彡.。

Re: 期待...しちゃうしちゃうっ!(/ω\*)

> ここあ様

> 番外編は限定なんて期待しちゃうなんてものじゃないですよーっ!!(*/ω\*)キャー!!

うふふふ、期待してくださってありがとうございます。そして、コメントの中になにやら、次のヒントとなるキーワードも入ってて、凄い!!エスパーですか!?って思っちゃいました。
コメント、ありがとうございます。
プロフィール

かばぷー

Author:かばぷー
ス/☆ビ大好き!
脳内妄想☆大暴走中
思いついた言葉を書き連ね
作品置き場にしています。

☆当サイトはリンクフリーではありません☆
お付き合いある「ス/☆ビ」二/次サイト様、マスター様のリンクをいただいています。リンクをご希望の場合、お手数ですがリンクを貼られる前に必ずご一報ください。尚、原作者様の作品画像やアニメ画像を無断掲載をされているサイト様からのリンク、多くのサイトを無断で紹介されているサイトは固くお断りいたします。

Attention!
The all of this are NOT related with the Author and/or the Publisher. Not allowed to permit from all illegal actions by the website rules. No reproduction and/or republication without any written permission from blog author and/or web site owner.
Each blogs has the copyright after publication showing on the web site and each web page by the author.
注意!
この中の全ての物は、原作者及び出版社とは関係ありません。
ウェブサイト会社規約、全ての違法行為を禁止します。著作者の許可なく摸作・転作などの行為を禁じます。
各ウェブサイト又は各ブログ執筆者により書かれた、もしくはデザイナーに描かれたそれらの創作作品は、公共へ配信された時点で著作権は著者が所有しています。 

ようこそ
最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
リンクご案内
ちょび様
陽のうらうらと
ピコ様
sei様 風月様
popipi様
ちなぞ様 ぞうはな様
ぽてとあげたい様
ぽてとは揚げて食べたいな