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恋しい夜 愛しい朝 4

(やめて!私の恋人に触らないで!!)

キョーコは喉元まで出かかった言葉を飲み込み、その場に呆然と立ち尽くす事しか出来ない。

何故なら、その女性が頬に口付けた時の、愛しい男の表情は、間違うことのない程の神々スマイルだったから。


恋しい夜 愛しい朝 4


(私、何をしてるんだろう?)

ーーー目も眩む様な、たなびくプラチナブロンドの髪が蓮に近づく。

(何故、ここにいるのだろう?)

ーーー蓮の顔を両手で挟み、頬に優しく口付ける。

(逃げなくては…今すぐここから…)

ーーー蓮はまるでキョーコにする様に、その大きな体を少しだけ曲げて、キスを受け入れる。
 そして、あろう事か、愛しい人だけに与えられる、神々しい微笑みを投げかけていた。


「キョーコちゃん、だ…大丈…夫?しっかりして。」

社の問いかけにも、答えることができない。
身体が凍りついたように、動かないのだ。
後ずさりも、前に出ることさえも出来ず、ただそこに立ち尽くすキョーコ。

蓮は二人に気付いたその瞬間、キョーコの様子がおかしいことを一瞬にして悟り、動揺の色が滲む。

「キョーコ!待って、違うんだ。」

顔色を無くし、その場で動けないキョーコの元に慌てて駆け寄る。

「キョーコごめん、この人は違う。誤解しないで。」

「ご…かい?何を…誤解…するんですか?」

キョーコの目が見開いたまま、空を見て答える。
蓮に目を合わせることすら出来ない。

「この人は、その…母なんだ。紹介するのが遅くなってしまったけれど…」




「「……………はぁ????」」

何を言っているのだろう?この男は…。

(嘘をつくなら、もっとましな嘘をつくべきじゃないのか?)
社は金髪の美女をみて、呆れる。
(30そこそこにしか見えないこの女性が母親なわけないじゃないか!)
社も突っ込みたくなるような言い訳だ。


そこへ、懐かしい声が聞こえた。

『ジュリ、ダメじゃないか。キョーコがびっくりしてしまう。』



「!!!? せっ…先生!?」

はっとして振り向くと、ハリウッドスター、クー・ヒズリがそこにいた。

((母…、ジュリ…、ジュリエナ・ヒズリ?…ホントに、母?この人が? でぇぇぇぇぇ!?))

余りの有り得なさに、キョーコと社が呆然としていると、ジュリは無邪気で親しみある笑顔をキョーコに向けた。

『はじめまして、キョーコ!まあ!本当になんてキュートなんでしょう!!!素敵!可愛いわ~!!』

ジュリエナは、動けないキョーコにぎゅっと抱きついた。

『ジュリ…、ちょっと…俺にキョーコ返して…。』

『嫌よ?もう、キョーコをすぐに紹介してくれるって言うから、楽しみに待ってたのに!!こんなに可愛いんだもの。返さない。』

『だからジュリ、キョーコがびっくりしてるって言ってるだろう。さあ、蓮に返してあげよう?』

『うぅ~ん、折角、会えたのに…。もう返しちゃうの?』

「ふえ…(じわり…)」

「(キョーコ、ダメだよ。我慢して。敦賀蓮のためにも…)」

クーにひっそりと声をかけられ、誤解だと分かった時のほっとした安心感で、出そうになっていたキョーコの涙が、“ひゅっ”ととまる。

「いい子だ。」

遠巻きに様子を窺う周囲に配慮しながら、ポンポンとキョーコの頭を撫で、キョーコをそっと蓮に返す。

「敦賀君、社君、妻が迷惑をかけたね。キョーコもびっくりさせてすまないね。突然、喜び勇んで彼のところに行くものだから、私のほうが焦ってしまったよ。」

「いえ、こちらこそお会いできて、光栄です。蓮、社長に連絡してくる。ミスター・ヒズリ、どうぞお気になさらずに。ちょっと失礼します。」

おそらく気を利かせてくれたであろう社に、二人のスターは感謝する。

「しかし…、キョーコ、しばらく見ない間にずいぶん綺麗になったね。驚いたよ。」

「本当ですか?嬉しいです。」

「うん。蓮がぞっこんなのも分かるな。今日は、ジュリ…妻がフライングしたからびっくりしただろう?」

「いえ、びっくりした…と言うか…なんと言うか。」

「俺は焦りましたよ。ジュリは突然やって来て、突然キスするし、キョーコは勘違いするし。誤解されたと思った瞬間、断頭台にいる気分でしたよ。」

「…すみません。まさか、こんなに綺麗な人がお母さんと言われましても、にわかには信じがたく…。」

「だろう?私のジュリは宝石のようだと、以前話したが、その通りだったろう?」

『…ねえ、私の悪口?』

『違うよ、ジュリ、キョーコが君のことを綺麗だって言うから、同意してたんだ。』

『あなたが突然、突拍子もない行動に出て、みんなの注目を集めてしまったので、日本語で話さざるをえなかっただけですよ?』

『やっぱり私の悪口…久遠、意地悪よ。冷たい…。』

『とりあえず、貴方がキョーコを誤解させたことは怒っています。咄嗟に拒絶できないって分かってるくせに…。ちゃんと紹介出来るまで、待っていて欲しかったんですけどね。』

『びっくりさせて、ごめんなさい。キョーコ、許して?』

『いえ、こちらこそすみませんでした。先生の奥様とはつゆ知らず、失礼な態度を取ってしまって…。』

周囲に気付かれないように少し小声で話していく。
元・日本人のハリウッドスターが、新人の日本人俳優に声をかけて談笑しているように見えるだろうか?
それとも、日本での付き人だったキョーコと、懐かしい話をしているように見えるだろうか?
ようやく、周りの関心が遠のき始めたようだ。

「キョーコ、ようやく来たね。私としてはすぐにでも自宅に招待したいのだが、今回はやめておこう。そのうち彼がきちんと連れて来てくれるまで待つとするよ。妻にも、もう少し辛抱させるからね。」

「はい、先生。」

「ん?父とはもう呼んでくれないのかな?」

「(///)…お父…さん。また、来ます。次は、絶対 久遠さん と一緒に来ます。」

「うん、娘に会えるのだから、楽しみに待っている。蓮…、君の活躍にも注目しているよ。次は彼女を是非、私のうちに連れておいで。待ってるから。」

キョーコにウィンクしながら、クーは蓮と握手した。

ジュリエナは、名残惜しそうにキョーコにハグをした後、蓮と少し長めのハグをした。
クーは、少しだけ不満そうなジュリエナをあやしながら、馴染みの友人に挨拶をするためにその場を後にした。


「誤解は解けましたか?」

「…はい。すみません。」

「いや…ごめん。俺も悪かったよ。ずっと紹介しないといけないと思っていたんだけど、ついついしそびれて…。今回も、キョーコに会えたことが嬉しかったから、つい今日会えるかもっていうことを、伝えるのを忘れていたんだ。」

「本当にびっくりしましたよ?先生が お父さん なのは分かってたんですけど…。」

「堂々と招待されたから、次は一緒に行けるね?」

「どっちで行くんですか?敦賀蓮で?それとも…。」

「うん、どっちにしようか?」

ふふふ…と意味深に笑う二人はあることに気がついた。

「そういえば…、社さんにどう説明しようか?」

空気も場も察する敏腕マネージャーは、この場を利用して敦賀蓮のプロデュースに勤しみながら、ちょっと離れたところでくしゃみをしているかも知れなかった。



(続く)


えへへ。(*´~`*)
一度はやってみたかった、誤解ネタ。
アメリカだから、ジュリエナも書いてみたかったんですよね。
さて、お次はどうなりますやら?
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