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二人の距離

こんばんは 

いつもより、ぐっと遅い時間に更新です。
なんだか話がまとまらなくて考えてたら遅くなっちゃいました。
タイトルもよくあるものになっております。


今回も成立前、両片思いな感じでお読み下さい。










二人の距離






(あ…凄く素敵)


キョーコは、ショーウィンドウの前で不意にぴたりと立ち止まった。

まだ自分には早すぎる。まだ見るだけだと言い聞かせるのに、視線は、吸い寄せられるようにガラスの向こうにある靴に吸い寄せられてしまう。

いつかは履いてみたいと思う憧れの高いヒールがそこにあった。

「ふわぁー、やっぱり高いなあ……」
「それは値段?それともかかと?」

突然背後から聞こえた聞きなれた声に、キョーコは若干飛び上がった。

「つ!…敦賀さん!?どうしてこんなところに??」
「どうして…って、酷いな。たまたま偶然通りかかったら、君がしげしげとショーウィンドウを眺めている姿が目に入ったから、ちょっと声かけただけだよ。」
「たっ…たまたま?」
「そう、たまたま。さっきまでそこのアルマンディにいたから。」

ああ、そうか…この先にはアール・マンディのショップがあるんだったとキョーコはすんなりと納得がいった。

「あ、そうなんですか。お疲れ様です。じゃあ社さんは…」
「今、車を取りにいってくれてる。社さんを待つ間、入ってみる?」
「ひょえっ!?」
「流石にここじゃ目立つ」
「あ…」

そういわれてみれば、ここは銀座のど真ん中
目立つに決まっている。
往来でウィンドウを眺めているのが敦賀蓮だと分かったら、それこそ大騒ぎた。

「や、でも…」
「いいから、入る!」

半ば強引に靴屋に足を踏み入れた。








「ご覧になっていたのはこちらですね。」
「あ、はい。そうです」
「サイズはございますので、どうぞお申し付けくださいませ。」

目の前には、先程まで眺めていたマノロ・ブラニクのオープントゥ
それを間近に見て、キョーコの目はキラキラと輝いた。

ヒールが10cm以上はあろうかというその靴は、まだキョーコにはハードルが高い逸品。

当然その大人っぽいデザインもさることながら、価格は目玉が飛び出るほどだし、何より細いピンヒールがぐっと大人な雰囲気を醸し出しているから。
だるまやの女将さんたちにもらったパンプス以降、かかとの高いパンプスを履くことが増えたとはいえ、撮影の時には衣装さんにはできるだけ太いヒールをお願いしている。

「折角だから、履いてみたら?」

そうにこやかに言われて、履くだけならタダだし…と、ふと考える。
それに、今ここに蓮がいて、ショップの店員からしてみたら、何のために入ってきたのだと思うだろうし……

「はあ…申し訳ない気がしますけど、履くだけなら。」

そう言って、マノロに脚を入れた。


「まあ、よくお似合いですよ!」

誰だってショップの店員はそういうのだ。だけど…本当に履きやすい。

「どう?初心者でも履きやすいって言う人は多いらしいけど」
「凄く、姿勢がしゃんとします。それに、グラグラしません!うわぁ~びっくり!こんなにかかとがあるのに!?」

歩きやすくもあり、予想外の安定感に戸惑っていると、先輩俳優の声。

「うん、いいんじゃない?とても良く似合う。」

その声に赤面をしてしまうけれど、これは試着、試し履きなのだと自分に言い聞かせた。

「ありがとうございます。でも、これはまだまだ私には早いですね。」
「どうして?もともと足がとても綺麗だから、きっと舞台挨拶でも映えるよ」

またまた、そんな思わず喜んでしまいそうな一言を…と、顔に無表情を貼り付ける。

「いえいえ、お値段もまだまだ私ごときには手が届きませんし、それに……」
「それに?」
「かかとが本当に高いので、私が履くと170cmを軽く超えてしまいます。それだととても履く勇気が…」

そうなのだ。
これほどのヒールの靴を履くと、途端に視界が変わる。
共演者とのバランスを考えると、なかなか高い靴を選べない事情もたまにあって……

「俺となら、気にしなくていいんじゃない?」

「え……?」

ふと見上げた隣には、いつも見上げる位置よりも近い場所に顔がある。

「ね?」






――――― 一瞬の起動停止


いつもよりずっと近い位置にある端整な美貌。
そんな彼の、真昼間から甘い声を発して、夜の帝王をちらつかせた顔がいつもよりも至近距離にあることに脳が起動停止していた。

でもその時、確かにそう思った。
背の高いこの人となら、これくらいの高さの靴を履いてもいいのだと。いや、むしろその方がバランスがいいのだと……だけれど…


「………最上さん?聞いてる?」

「(はっ…!?)はいっ!聞いております。そっ、そうですね!でも、履き心地は最高とはいえ、やっぱり私には過ぎた逸品にございますれば!!今回はご縁がなかったということで!!」
「プッ…そう?そうは思わないけど…まあ、君の言うご縁が出来た暁には、候補に入れておいてもいいんじゃないかな?本当に良く似合ってるよ、それ。」
「はいっ!!胸を張って、敦賀大先輩の隣…は、はなはだ恐縮でございますが、一緒に競演ができ、皆様の前に立てる日を夢見て今後も精進いたします!!そのときには是非!!」
「はいはい。この靴を履いた君に隣に立ってもらえるように、俺も頑張るから。」




いつかは……

この先輩俳優と、一緒に映画の舞台挨拶に立てるような機会が欲しい。
そして、絶対に有り得ないけれども、靴のかかとの高さ分だけこの人に近づけたように、ステップアップして、ほんの少しだけでも役者としての距離を縮めたい。

だけど、今はまだ早い
まだ、胸を張って隣に立てるような自分ではないのだから

(だからまだ、こっそりと思うだけならいいのよね……)


キョーコは正面の鏡に映った少しだけ距離が近い姿を目の端に見て頬を染めた。







(おしまい)




うふふふ。何となく靴で妄想しちゃったの

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