FC2ブログ

距離をつめたい男

こんばんは

先日の「二人の距離」の蓮さんバージョンです。
思わず書いてしまった…
妄想続くよ、どこまでも?

どうぞ、お楽しみ下さい。








距離をつめたい男





「次のショーのコンセプトはこれでお願いします。」
「ええ、分かりました。」

アール・マンディのショップで次回の春・夏ショーの打ち合わせを兼ねて、新しい私服を調達したその日、次の現場に向かうために店の出口に足を向けたときだった。

「あ……」

ガラス越しの大通りをスッと通り過ぎた姿勢のいい歩き姿の女性。

「ん?」

見上げた視線の先に気付いたらしいマネジャーが、そういえば…と小さく呟いた。

「蓮、悪いけど車を回してくるついでに、ちょっと寄りたい所があるんだ。そうだな…20分くらいはかかると思うから、その辺、ぶらぶらしといてくれる?」
「……え、いいですけど。」
「じゃあ、用事がすんだら電話するから、あんまり遠くに行ってくれるなよ?」

きっと、彼もその横顔を確認して間違いないとの認識だったのだろう。流石に俺の事をよくわかっているらしい敏腕マネージャーは、すました顔でそういうと、さっと姿をくらませた。

店を出た俺は、急いで彼女の後ろ姿を捜す。

――― 見つけた

目抜き通りの交差点に差し掛かったところで、ショーウィンドウの前で立ち止まる茶色の髪。
まるで吸い込まれるように身体を折り曲げてウィンドウの中を凝視する姿に、くすりと笑いが零れる。

ゆっくりと彼女の背後に近づくが、展示物に釘付けになっているのか、反射した自分の姿に気付きもしない。

「ふわぁー、やっぱり高いなあ……」

独り言が大きいのはいつもの事だが、覗き込んでいる展示物を確認してその呟きの理由に思い当たった。

「それは値段?それともかかと?」

声をかけた瞬間、びょんっ!とまるでそこに擬音でも書き込めるほどに、飛び上がった彼女は、振り返り信じられないものを見るように俺を見た。

「つ!…敦賀さん!?どうしてこんなところに??」
「どうして…って、酷いな。たまたま偶然通りかかったら、君がしげしげとショーウィンドウを眺めている姿が目に入ったから、ちょっと声かけただけだよ。」
「たっ…たまたま?」
「そう、たまたま。さっきまでアルマンディにいたから。」

まさかとは思うが、つけてたとか思われたりしないよな。
その驚きようは相変わらずで、何気に傷つく。当然、可愛い反応を期待したりはしないけれど…

「あ、そうなんですか。お疲れ様です。じゃあ社さんは…」
「今、車を取りにいってくれてる。社さんを待つ間、入ってみる?」
「ひょえっ!?」
「流石にここじゃ目立つ」
「あ…」

今日は、変装らしい変装はしていない。
本当は彼女と立ち話をするくらいならなんでもないのだけれど、囲まれて折角の貴重な時間を削られるのは非常に困る。

ショップに半ば強引に連れ込んで、先程彼女が眺めていた、ピンヒールのパンプスを見せてくれるようにお願いをした。

彼女が一目で気に入ったのだろうと分かる、スワロフスキーが散りばめられたオープントゥのサンダル

最近、洗練されたシルエットが魅力的なこのパンプスを愛用している芸能人も多いと聞くし、自宅でもよく見かけたそのブランドは、セレブの間ではもはや定番と言える。
キラキラとした目でその靴を見つめる姿は、微笑ましくて……ああいや、もしここに社さんがいたら、何といってからかわれるだろう?

「折角だから、履いてみたら?」

目を真ん丸くした彼女は、う~ん…と一つ唸ると意を決したように、その靴をゆっくりと床に置いた。


もともと立ち姿の綺麗な彼女の事。
スッと立って、店内をモデルウォークで美しく歩く姿には、俺のみならず店員も呆気に取られて、賞賛の声をあげた。

その華奢なヒールも、大人っぽいデザインも、彼女の綺麗な脚のラインを際立たせるには十分すぎて目を細める。

「うん、いいんじゃない?とても良く似合う。」

勝手に口から零れた当たり前の感想
けれど、自分でも声が甘くなっている自覚はあった。

「ありがとうございます。でも、これはまだまだ私には早いですね。」
「どうして?もともと足がとても綺麗だから、きっと舞台挨拶でも映えるよ」

きっと、値段の事を言っているのだろうと推測できた。こんなに似合うのに、自己肯定感の低い彼女の事だ。似合わないと思っているかもしれない。ここに社さんがいたら、それが似合うのは至極客観的な評価なのだと彼女に思ってもらえたのに、という思考が一瞬頭をよぎる。

「いえいえ、お値段もまだまだ手が届きませんし、それに……」
「それに?」
「かかとが本当に高いので、私が履くと170cmを軽く超えてしまいます。それだととても履く勇気が…」

ああ…そんな事を考えてたのかと、ふとおかしくなる。
確かに共演者との身長のバランスを考えると、なかなか高い靴を選べない事情もあるのだろうが、それはスタイリストの仕事。彼女を美しく飾る事のできるアイテムは、持っておくに越した事はない。

それに……

「俺となら、気にしなくていいんじゃない?」

「え……?」

スッと彼女の横に立ち、二人の立ち姿を鏡に映りこませた。
驚いて見上げた彼女の瞳がいつもより近い位置に見える。
華奢な肩と腰がいつもよりも高い位置にあって、エスコートのためにホールドするには絶妙な位置関係。

いつものように腰を折って顔を覗きこむでもないその高さは、きっと客観的に見てしっくりと来るだろう。

「ね?」





微妙に無表情を貼り付けた彼女に、まだ早かったか…と学習能力が囁きかけるけれど、こういう彼女の姿を一番に楽しめる権利を得たことを素直に喜んでおいた。


そのうち…彼女にこの靴をプレゼントする機会はあるのだろうか?
いや、きっと我慢ができなくなって、買ってしまうだろう自分が想像できておかしい。

誕生日か、それとも何かお礼に乗じてか…
ああ、共演の機会があったらクランクアップの景品にこっそり混ぜても良さそうだ。
驚きとともに頬を染める彼女を勝手に妄想…いや、想像している自分がいて、学習能力の何たるかなんて、流石にもうどうでもよくなってしまった自分がいるらしいことをしみじみと自覚した。





(おしまい)





なーんちゃってね♪
キョコさんにきっと似合うだろうと思ってます。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

かばぷー

Author:かばぷー
ス/☆ビ大好き!
脳内妄想☆大暴走中
思いついた言葉を書き連ね
作品置き場にしています。

☆当サイトはリンクフリーではありません☆
お付き合いある「ス/☆ビ」二/次サイト様、マスター様のリンクをいただいています。リンクをご希望の場合、お手数ですがリンクを貼られる前に必ずご一報ください。尚、原作者様の作品画像やアニメ画像を無断掲載をされているサイト様からのリンク、多くのサイトを無断で紹介されているサイトは固くお断りいたします。

Attention!
The all of this are NOT related with the Author and/or the Publisher. Not allowed to permit from all illegal actions by the website rules. No reproduction and/or republication without any written permission from blog author and/or web site owner.
Each blogs has the copyright after publication showing on the web site and each web page by the author.
注意!
この中の全ての物は、原作者及び出版社とは関係ありません。
ウェブサイト会社規約、全ての違法行為を禁止します。著作者の許可なく摸作・転作などの行為を禁じます。
各ウェブサイト又は各ブログ執筆者により書かれた、もしくはデザイナーに描かれたそれらの創作作品は、公共へ配信された時点で著作権は著者が所有しています。 

ようこそ
最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
リンクご案内
ちょび様
陽のうらうらと
ピコ様
sei様 風月様
popipi様
ちなぞ様 ぞうはな様
ぽてとあげたい様
ぽてとは揚げて食べたいな