青年最上さん A+
ふむふむ~~って読んでいただけると、嬉しいです。
前のお話はこちら→ 青年敦賀君A+
青年最上さん A+
私、最上キョーコ 花も恥らう高校三年生。
私の隣を歩いているのは、敦賀蓮君
今日は夏祭り
浴衣を着て、髪をアップにして…少しだけ背伸びをして花火大会に出かけた。
敦賀君とはいつも制服で出会うから、涼しげなシャツを着た敦賀君がいつもより眩しい。
自然と手を差し伸べてくれる敦賀君に、躊躇うことなく手を伸ばした。
本当は…腕とかくんでみたいけれど、大木に張り付いている蝉みたいに見えたらやだなあとか考えてしまう。
「きゃ!」
屋台の賑やかさに目を奪われ、人の多さに戸惑っていると、案の定誰かとぶつかってよろけた。
「大丈夫!?ほら…掴まって」
「あ……うん、ありがと…」
敦賀君の逞しい腕に、そっと触れた。
きゃー!!初めての腕組み!………どうしよう…めっちゃ照れる。
ふふ…ふふふふっ……嬉しいな。
ついつい、顔がにやけちゃう。こんな顔、奏江や千織に見られたらなんていわれるだろう?
「最上さん、金魚すくいとか…しない?」
「あ!したい。敦賀君、一緒にやろう!金魚すくい!」
うわー!!ちゃんとデートっぽい。
やっぱり屋台の醍醐味よね。金魚すくい♡
敦賀君と一緒に、ポイを沈める。意外と敦賀君は金魚すくいが苦手なのかな…?私のほうが二匹多くすくって、敦賀君が自分の分と足してくれた。
いい匂いに誘われて、たこ焼きにふらふらと近づいたら、「食べる?」って敦賀君が奢ってくれた。
……嬉しい
……けど、にっこりと笑って何でも許してくれるって、彼女としてずるくない?
これ、敦賀君のたこ焼きでもあるわけで…敦賀君、食べないかな?
「敦賀君、はい!」
「え…?」
あっ…!しまった!いきなり唐突過ぎた?
……どうしよう、戸惑ってる……。
「やだ、恥ずかしいから、早く食べて!」
「あ…うん。」
遠慮しながら、敦賀君がたこ焼きを一つ頬張る。
あ…もしかして…これって間接キス??///
「美味しい?」
「うん、美味しいね」
ニコニコと笑う敦賀君は、間接キスだってことに気がついてない…のかな。
敦賀君はいつも余裕な感じで…自分だけが、いつもドキドキしているなんて、ずるい。
自分だけが、敦賀君と触れ合いたいと思っているのかもしれない。
邪な心を見透かされないように、花火に集中しようかと思ったけれど、どうしても集中できない。隣の敦賀君の体温が気になって、花火の途中で時々耳元に囁きかける声に心臓が跳ねそうになって、凄く……緊張した。
帰り際、鼻緒が少しだけ脚に食い込んで痛くなってしまって、駅に向かって混雑する人並みから少し離れてもらった。
がやがやと、通り過ぎる大勢の人たちを見送る敦賀君の横顔が綺麗で、思わず見とれた。
もう少し…一緒にいたいな……
やっぱり、こんなふうに思うのは私だけなのかもしれない。
涼しげな敦賀君は素敵だけれど、意識してるの、私だけなのかな…。
本当はもっと、手を繋いだりしたいな…
それと………
はっと気がつくと、敦賀君のシャツを摘んでた。
(あ…まずい、無意識に!??)
「どうしたの?」
(ぎゃー!!!そんなに煌びやかに微笑まないで!!)
顔から火が出そうになる。
(もう…ええい!!ままよ!!)
「あの……あのね……」
「ん…?」
もう、嫌われたら立ち直れない…けど!!でも!でもですよ!?ここはちょっと夏祭りだという事で!少しだけ思いでつくりに協力して欲しいのですよ!
自爆だと分かってはいても、どうしても、どうしても…伝えたくなった。
「…………キス……していいかな……」
(…間が…長くない?)
失敗したかと思って、おそるおそる敦賀君の顔を見たら、驚きというより、なんだか真剣な顔をしている。
「……いいの?しても」
(ぎゃー!!そんな恥ずかしいから、聞き返さないでぇええ~~!!)
思わず下を向いてうなずいたとき、ゆっくりと敦賀君の体温が近くなった。
人の波から見えないように、こっそりと重ねた唇
一回だけじゃなくて、何度か離れてはまた、重ねて…
心臓のドキドキは半端なくて、そして思った。
(恥ずかしいけど、言って良かった……)
何度も敦賀君にときめいた高三の夏
(おしまい)
煩悩、煩悩♪
なんだかこそばゆい~~(//>ω<)
やっぱり、若いっていいわぁ~~♪