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新月の恋人

少し間が空いてしまいました。
ここ数日パソコンが開けなかったので
…(汗)


お久しぶりのシリーズ
(本当は、新月が10月9日なんですけど、ちょっぴりフライングね(´∀`*;)ゞ)

どうぞお楽しみくださいませ。









「キョコ、凄く言いにくいんだけど……明日はちょっとロケが長引きそうなんだ。」
「にょ!?新月なのに!?」
「そう、新月……なんだけど、ね。」

キョコがヒト化してから、何度目かの新月。
社さんに不思議がられながらも、月齢カレンダーとにらめっこをし、俺はできるだけ“その日”に仕事を入れるのを避けていた。




新月の恋人





「ね、ぎゅー、して?」
「うん、ホントにごめんね。キョコ」
「………待ってる」
「ん、いって来ます。」

まだ微妙に月齢が足りてないらしく、猫の姿をしたキョコに口付け、よしよしといつものように頭を撫でて家をでる。
朝も早く、一日の終わりも遅い。
何でよりによって、この日にこんな過酷なロケが組まれてしまったのか…返す返すも恨めしく思える。

「おはよう、蓮」
「………おはようございます」
「何だよ、不機嫌丸出しだな。頼むから、早いとこ敦賀蓮を貼り付けてくれよ」
「相当、骨が折れそうですけどね」
「おっとー、かなりご機嫌斜めだな。」

「すみません、冗談ですよ」

きっと、冗談半分、本気半分なのは社さんも分かっていて、現場に入ればキョコの事は頭から離さざるを得ない。
順当に撮影は進み、長めの昼休憩が与えられた。ふと、キョコのことを思い出すのはそんなときだ。
ロケ弁当を食べる気にもなれなくて、ふと外で食事したいと思って一人で外に出た。

撮影所の近くにあるカフェテリア。

休憩の合間に芸能人が多く訪れるであろうそこは、若干の人気スポットには違いないのだが、あまりおおっぴらにすると、ちらりと芸能関係者を垣間見える機会も減ると分かっているのだろう。声をかけてくる人間はあまりいない。

のんびりと、クロワッサンのセットについたコーヒーを口にしたときだった。


「(れーん!)」


「………………(ん?)」


「(蓮ってば!ここにゃ!)」

「ん!?んんんんん!???キョコ!!??」

椅子の下から聞こえた声に、驚きを隠せなくて、思わず大きな声をあげた。
覗き込んだ先には、頭に葉っぱをつけたキョコがいて、のほほんと笑っている。

「(ちょっ…ここまで、どうやって!?なんで?どうして?)」

慌てて抱き上げると、すりすりと頭をこすり付けてくる。

「(にゅふふふ、電車と言う箱に乗ってきたのにゃ!)」
「(で…電車?)」
「(そうにゃ!)」
「(まさか……そのまま……?)」

「(ヒト型にゃ!)」


猫のくせにえらく威勢よく、胸を張って答える姿に、非常に脱力をしてしまった。







「で、服はどこ?」
「えっとねー…駅」

小脇に抱えるようにして駆け込んだ撮影所の楽屋

「駅!?もしかして、トイレとか?」
「そう。心配しなくても、ちゃんとたたんだにょ。」

と、言う事は、内側からしか開かない使用中トイレが一つあるってことか。しかも服が置かれたままの……と、蓮は想像を膨らませる。

「でも、どうやってここが?」
「だって、昨日社さんと打ち合わせてたの、聞いてたにゃ……で、人に聞いて…」
「よくもまあ…」
「だめ…だったにゃ?」

蓮は大きく息を吐いた。

「だめに決まってるだろう!?」

その瞬間、キョコはビクッと身を縮めた。

「キョコは女の子で、猫で、街のことは知らなくて、もし間違ったところに辿り着いて、帰れなくなったらどうするつもりだったの!!??」
「そっ…それは!」
「危なくなったら猫型に戻ればいいからとか、そんな簡単な事じゃない!」
「ふにゃっ…!!」
「世間一般には縄張りだってあるだろうし、犬に追いかけられることだってあるかもしれないだろう?そうやって追いかけられる猫を何度も見てる!二度と会えなくなる可能性だってあるんだよ!」

「うにゅうっ………ぅぅぅううううう~~~~」

猫のキョコが、大きな目に涙をためて、うりゅ、うりゅと涙をこぼす。

「らっってぇ……れっ…蓮にっ…蓮とっ………一緒にいたくてっ……喜ぶと、思ってぇ~…うぅっ…うううう~~~~」

丸まった猫の手が鼻をこすり、目ををこすり…ベルベットのような毛並みの上を水滴が転がっていく。

「キョコ……」

しょんぼりと耳をたれて泣きじゃくるキョコの頭を優しく撫でた。

「うん………気持ちは、嬉しいんだ。けどね…キョコ?キョコが急に俺の前から突然いなくなることは……耐えられない。会えたからよかったけど、もし帰ったときにキョコがいなかったら、俺、どうするの?俺に会えなくなっても…キョコはそれでも平気?」

ブンブンと、しずくが左右に飛び散るのかと思うくらい、キョコは頭を振った。

「…ぅごっ…ごめんなしゃいぃぃぃ~~~~~」
「うん、無事で………本当に良かった」

えぐえぐとしゃくりあげるキョコを抱き上げ、耳元を撫でる。

ほろほろと、その大きな瞳から零れる涙を掬い取り、涙に濡れた毛並みを撫でた。


「キョコ、一瞬……ヒト型になれる?」





「…………いいの?」

きょと、と見上げたキョコに、困ったように笑いかけ、「鍵を閉めてくるから」とキョコに背を向けた。

カチャ

振り向くと、そこにはキョコがいて、同じように涙に濡れた顔で座っている。
蓮は私物のシャツをさらりとキョコの肩にかけ、布一枚越しのキョコの痩躯を引き寄せた。

「うん、我慢させてごめん……本当は、嬉しかったよ。」

そう言って、涙で濡れた唇にキスを落とす。
何度も何度も確かめるように交わした口付け。
やがて、眠るように目を閉じたキョコにジャケットをかけると、キョコは静かにキョコに戻った。

「一緒に帰るんだから、今日はこのまま大人しくしててね」

囁くように頭をなで、楽屋を後にする。

社さんに一応の報告をし、猫用ケージを用意してもらった。二個目だがこれは仕方ない。
本当なら、今日はヒト型の日……キョコを猫のままでいさせるには、少しばかり気が咎めるけれど、家に帰るまでは我慢してもらうしかない。
深夜までかかると思われた撮影は、気力で繰り上げた。だって、楽屋には愛しいキョコが待っているから。







マンションの玄関をくぐり、ケージを開く。
のそり…と、気だるそうに出て来たキョコを抱き上げて、顔をこすり付けた。

「……やにゃ、眠いにゃ…」

そりゃそうだろう、いっぱしのヒト型で電車にまで乗ったんだから。
おまけに、帰りに最寄り駅に寄ってみれば、そこにキョコの服はなかったらしい。キョコの勘違いかと思ったけれど、トイレに脱ぎ捨てられた女性用の服一式のことがちょっとした怪奇事件になっていたことは、あとで知った。
当然、置き去りにされた服の持ち主である事は、申告できるわけはないのだけれど…

「眠いって、今日楽屋でこんこんと寝てなかった?」
「…んむぅ、なんだか疲れたにゃ…」

そりゃないだろう?メスが発情しない事には、オスは交尾できる権利はないのは知っているけれど……

「キョコ、こっち見て……」
「ん?」

猫のままでも構うものかと顔から何から、すんすんと鼻を擦りつける。

「あにゃ!?にょっ……んにゅッ…」

嫌がるキョコの首筋から何から、まさぐって、気持ちいい場所を擽る。

やがて、柔らかな毛並みは柔らかな肌へと姿を変え、榛色の瞳に困惑の色を纏い、キョコは俺を見上げる。

「れ……蓮?」

困ったように、見上げるその可愛らしい顔にむけて、これでもかと雄の情欲を浴びせかける。

「今日は何の日か、キョコは勿論知ってるだろう?」
「う……、ぁい」


「今日は、寝かさないから」
「むにょっ!!???」


「……うん、寝かしてあげない」



さあ、キョコ、新月の夜はまだ終わってない
時間の許す限り、可愛がってあげる

ね?だから素直に可愛がられていて


愛しい愛しい、新月だけの俺の恋人







(END)


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コメント

更新ありがとうございます(^^)
久々のキョコさん登場にテンションあがりました。
やっぱり、積極的なキョコさんは可愛いです(*´ω`*)
1話から見直してきます(^^)
  • 2018-10-04│00:15 |
  • あやめ URL│
  • [edit]
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • 2018-10-05│19:22 |
  • [edit]
Re: タイトルなし
> あやめ 様

こちらこそ、お越し下さりありがとうございます。
一話からの見直しとは!嬉しいです。
積極的で無邪気なキョ子猫ちゃん、なんだかついつい書きたくなっちゃうんです。
  • 2018-10-05│22:46 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
Re: タイトルなし
> komugi 様

こちらこそ、読み返しをありがとうございます。
だんだんと行動範囲が広がってきたキョ子猫ちゃん。蓮さんもひやひやものに違いありませんね。
そして、トイレの怪事件…開かないトイレのドアの中には女性用の服一式…そりゃミステリーに違いありません!
完璧じゃないキョ子猫ちゃんも初々しいのです。
  • 2018-10-05│22:51 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
すっごく
愛おしい!!
仔猫キョコシリーズ、大っ好きです!

天真爛漫、自由奔放なキョコに振り回される心配性な蓮さん。
あぁそんな2人が愛おしい!

新作公開、ありがとうございました!
次回作も楽しみに待ってます〜!
  • 2018-10-06│12:48 |
  • よっちゃん URL│
  • [edit]
Re: すっごく
>よっちゃん様

愛おしい二人といっていただき、ありがとうございます。
なんかもう、可愛くて、可愛くて~~妄想は膨らむのです。
恋人としての営みは少ないので、新月が待ち遠しいのかもしれません。
でも、普段も喋れているので、少しは楽しい会話とかはずんでいるかも知れませんね。
  • 2018-10-06│14:58 |
  • かばぷー URL│
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