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僕らはセピア色の夢を見る3

とりあえず、更新できましたー!!









企画を立ち上げ、準備段階に入ってからの4人の活動は忙しかった。
完全下校ぎりぎりまで準備をして、それでも足りなくて近くのハンバーガーショップで案を詰めることもあった。

帰りが遅くなった結果、人の気配のない道は危ないからと、奏江と光は勿論一緒に帰り、ここ最近はキョーコの最寄り駅まで、蓮が一緒に歩いて送ってくれるのだった。





僕らはセピア色の夢を見る 3





「最上さん、後夜祭、誰かと約束してる?」
「後夜祭?」

後夜祭…実はほんのついさっき光君から、後夜祭に一緒にダンスを踊らないかと誘われている。けど…返事は保留にしていた。丁度その時、教室に誰か入ってきた気配がしたから。

「もしかして…先約あるの?」
「先約って言うわけじゃないけど、石橋君からさっき、一緒にどうかって…」

敦賀君の表情が、少しだけ硬くなったような気がした。

「そうなんだ…。じゃあ石橋君と行くの?」
「んと、実はまだ返事してないの。」
「どうして?」
「丁度その時、人が来ちゃったから。でも、断ろうかと思ってるの。」
「断る?なぜ?」

「だって…石橋君と一緒に後夜祭に行きたい人もいると思うの。その人に申し訳ない気もするし、きっと、石橋君の隣にふさわしいのは私じゃないと思うから。」
「それは、最上さんが決める事じゃない、石橋君が決める事だよ。」

敦賀君の声に、少しの棘が混ざったような気がした。

「最上さんは、遠慮しすぎるんだ。最上さんと仲良くなりたいと思っている人は大勢いるのに、君は自分から一歩引いて遠ざかってしまう。それって遠慮?それとも自信の無さ?どっちにしても、君に好意を寄せている人間にとっては、酷い仕打ちだと思うよ。」

酷い仕打ちといわれて、胸がチクリと痛んだ。

「敦賀君は自分に自信があるからそう言えるんだよ。私には無理。」
「自信なんてないよ。不安なことだって、心配なことだって山ほどあるさ。」

「…敦賀君に不安な事なんてあるの?」
「勿論あるよ。」

意外な言葉だった。
敦賀君ほど顔もスタイルも良くて、おまけに勉強も出来て、女子にも男子にも人気がある人間に悩みなんて無いと思っていた。
一体どんな…と思ったけれど、そこまで聞ける立場ではない。

「ほら、また遠慮してる。」
「……別に…」
「俺に聞いてみたいことがあるなら、聞いてくれたらいい。むしろ、全く俺に興味なんか無いんだろうと思って、落ち込むよ。」
「ッ…そんなつもりじゃ…!」

「……じゃあ、俺の悩み、聞いてくれる?」

真剣に敦賀君が私のほうを見つめてくる。敦賀君の苦しそうな表情は初めて見た。

「好きな子がいるんだ。」

一瞬、何を言われたか分からなかった。

敦賀君に好きな子がいる。
そんなの、当たり前だと思うけれど、こうやって恋の悩み事があるなんて、面と向かって言われるとは思っていなかった。一体誰だろう、琴南さん?執行部の百瀬さん?さっき声をかけていた、1年生…?敦賀君の恋愛事情なんて、興味が無い筈だったのに、どうしてこんなにもやもやするんだろう?

そんな愚かしい感情は持ってはいけないものなのに、どうして私は、また性懲りも無く…

「最上さん…こんな気持ちになったのは初めてなんだ。」

敦賀君の初めての感情をもらえる女子が、羨ましいだなんて…そんな事をちょっとだけ思った。

「君が俺に関心がないのは分かってる。けど…友達として、一緒にいることが出来るようになって、正直凄く嬉しい反面、不安なんだ。俺の事を知って欲しいと思うし、俺のことを好きになって欲しい。でも、君の気持ちが分からなくて凄く…困ってる。これが俺の悩み。」
「私の気持ち…?どうして敦賀君が好きな人の話なのに、私がそこに?」

敦賀君は、やっぱりそうなるか…と独り言のように呟いて、大きな手で顔を覆った。
チラリと指の隙間から私のほうを見て、一つ溜め息をついた。

「最上さん、俺には好きな子がいる。それは君で、俺は君のことが好きだ。」






「…………はあ…」

あっ!しまった!なんて間抜けな声で返事をしているんだろう?
私は慌てて口元を押さえた。

「……うん、多分そんな返事だろうと思った。今はまだ、俺の気持ちをちゃんと伝えたかっただけ。だから、それで今すぐに付き合って欲しいとか思っていないけど、でもいずれはそうなりたいし、俺のことを意識してもらいたいと思ってるんだ。」

「えっと…それは…その…ごめん、今、頭が付いていかない。」

だめだ…脳が速やかな情報処理を拒否している。
学校一のイケメン、プレイボーイなもて男が、今なんて言ったのか?

「最上さんは…俺が君の事を好きだって、気が付いてなかった?」
「う…ある訳ない。え…だって、有り得ないでしょ?」
「何で?何で有り得ないの?」
「え、だって、敦賀君もてるじゃない。凄く人気者で男子からも女子からも好かれてて…勉強も、運動も出来て…」
「一応そういう風には思ってくれてたんだ。」
「まあ、一般論で…」
「で、何で有り得ないの?」
「いや、だって敦賀君が付き合うなら、超美人で気立ても良くて、そういう人が似合うんじゃないかって…皆思ってるよ。」
「だから、さっきも言ったけど、それは最上さんが決める事じゃないよね。俺の好きになる人くらい、俺が決める。」
「まあ…そうなんだけど…」

それ以上言葉が出なくて。言い澱んでしまった私に、敦賀君は顔に手を当てたままで、ふーっと大きな息を吐いた。

「石橋君が君を後夜祭に誘ったって聞いて…焦って言うつもりじゃなかったのに…格好悪…」

(格好…悪いのかな…)
それ以上何も言えなくなってしまった私に、敦賀君はまた一つ大きく深呼吸した。

「うん、でもいいや。今、最上さんに嫌われてなかったら、それで!」
「嫌うっ…て、そんな訳ないじゃない。」
「うん、だよね?それは分かった。じゃあ、しばらく友達でいてくれるかな。」
「とっ…友達?そんなおこがましい!」

「……もしかして…友達…でもなかった?」
「え…だって、単なるクラスメートだと…」
「酷いな。まだそのレベルだったか…」
「ごっ…ごめん!」
「う~ん…じゃあさ、とりあえず友達から始めてもらえる?」
「あ、友達って…どうすれば…」
「今までと同じだよ。だけど、文化祭実行委員が終わっても、一緒に帰ったり、時々はこうやって一緒にご飯食べて話したりしたい。それは…いい?」

いい?なんて…それは確かに普通のクラスメートだとしないことなんだ。そうか…友達…一緒に帰ったり、ご飯食べたりするんだ。出来るんだ。
そう思ったら、なんだか無性に嬉しくなった。

「うん…いいよ。」
「ホント!?」

そういう敦賀君はいつも見かける表情より無邪気で子供っぽい気がした。

「あ…でも、やたらと近づくのはやめてくれる?」
「え…なんで…」
「だって、敦賀君が近くに来ると、結構たくさんの女子が睨んで来るんだよ。知らなかったでしょ?」
「………そうなの?」
「そうだよ。もう、こっちは針の筵なんだからね。」
「分かった。適度な距離感ね…肝に銘じとく。」
「うん。…あ!電車来る。ごめん、また明日!」
「あ…うん、また明日!」

改札で、にこりと笑って手を振る敦賀君
同じように帰りが遅くなったらしい他のクラスの子が、キャーキャー言ってるのが視界に入ったけれど、今日は気にならなかった。
だって、敦賀君と友達になった…

そう、友達になったのだ。





(続く)
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コメント

コメント(4)
ただの?友達?
蓮くん、後夜祭の誘いで光くんに先を越されたと焦ってみても、
誰もまだ…「ただの」友達ラインから先に行けてないのね?(^▽^;)

しかし「好きな子がいるんだ」という意味深なセリフから入って、
ドキッとさせたかったけれど…アンニュイな感じ?(^▽^;)
でも少しだけ、一緒の時間を過ごせることは喜んでるようなキョコですね。

ちょっぴり有利なのかな?蓮くん、ガンバ!

山崎由布子

2019/01/18 20:38 URL 編集返信
かばぷー
Re: ただの?友達?
> 山崎由布子 様

友達にすらなっていなかったという現実に、告白して『しまった!』と思っているに違いありませんよ。
もう、本当に距離をとりたがるのは、キョコさんとしては仕方ないのかなあと思います。
仲良くしたいと思っていても、アノ男のせいで…いえいえ、ネタバレになってしまいます。
なんだかとっても長くなりそうな気配ですが、どうぞお付き合いくださいねー。

かばぷー

2019/01/19 19:39 URL 編集返信
友達。
そうですよね〜、日直同士とか、同じ委員とか、その程度なら、同じクラスの同級生止まりですよね〜。

女子だって、クラスでおしゃべりする程度なら、仲が良いレベルのクラスメイト止まり。誰かに聞かれたら、「同じクラスの子」という答えになり、「同じクラスの友達」とは言わないかも。毎日世間話してるご近所さんを友達と呼ばないのと同じかもですね。

いつも一緒にいたり、個別に連絡取り合うレベルでやっと友達。蓮くんは、やっとそこに到達できたのですね〜!?おめでとうございます。ヾ(≧▽≦)ノ

クラスメイトでは、「委員」とか何か理由が必要でも、友達ならできること。たくさんありそうです。蓮くん、頑張って!
(*´ -`)(´- `*)

まじーん

2019/01/22 19:59 URL 編集返信
かばぷー
Re: 友達。
> まじーん 様

良かったー!!
どうしてもキョコさん的感覚というか、世間一般の感覚では「友達」って、もうちょっと特別な気がしていたのです。
特に、キョコさんは友達に関して異様なほどの孤独感を持っていたと思うので…
それに、大人の感覚になればなるほど、○○の知り合い、○○の仲間というのはありでも友達って感じではないですよね。

よし、これから友達以上だと思ってもらえるように、蓮さんを頑張らせるぞー!!

かばぷー

2019/01/22 20:55 URL 編集返信
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