FC2ブログ

僕らはセピア色の夢を見る8

萌えシチュって言うよりだらだら書いているだけの気がしてますのに、足を運んでいただきましてありがとうございます。
一体、ほのぼの日常がいつまで続くんだろう?(いや、この先微妙展開が待ってますけど…)

お付き合いいただけている皆様に感謝です。








「ねえ、敦賀君…お弁当、もしかして足りないんじゃないかと思って心配してるんだけど…足りてる?」
「ん。大丈夫。」
「だって、私のお弁当サイズだよ?」

心配そうに蓮の顔を覗きこむ。
その姿に蓮はごきゅん、と咀嚼していたものを飲み込んだ。

「十分だよ。それより、申し訳なくて…俺は最上さんのお弁当が食べられる事は凄く嬉しいんだけど、二個作ってくるの、面倒じゃない?迷惑になってない?」
「作るのは面倒じゃないからいいの。それより逆に、敦賀君の迷惑になってなければいいとは思ってる。」
「それはないから安心して。むしろ、凄く嬉しい。」
「……本当に?」
「うん、凄く美味しいし。それに、最上さんが俺に作ってくれてるって言うのがいいんだ。」

空になったお弁当箱にふたを閉めて、にこりと微笑んでくれる姿に照れてしまいそうだ。

「ご馳走様。今日も美味しかった。」
「……ありがと。」
「こちらこそ。」

軽くなったお弁当箱が、蓮の手からキョーコの手に戻ってくる。
こんなのを蓮に持たせてるなんて、人に見られたら笑われちゃうかもしれないくらいのファンシーなお弁当箱。

まるで、彼氏彼女みたいに一緒にお弁当を食べる毎日。
でも、お弁当を作ってくることは絶対に誰にも知られたくなくて、こっそりと裏庭で食べている…。
それはキョーコにとってはやっかみを受けないための処置ではあったのだが、蓮にとっては至極、幸福な時間でもあったのだった。




僕らはセピア色の夢を見る 8





お昼ごはんを一緒に食べるようになって、二人はいろんな話をするようになった。
それは、趣味の事、好きな音楽の事、授業の事…他愛もない会話が楽しくて、ついつい自分の事を話した。

「え…?最上さんって、自分で全部炊事してるの?」
「そうよ。」
「それは…凄いな。」
「だって、うちはお母さんが忙しいから、私がするしかないの。出張だってしょっちゅうだしね。」

「そうなんだ…でも、結構うちと似た状況かも。」
「…?似てるの?」
「うん、うちは最上さんちと逆。父子家庭なんだけど、海外に行くことも多くて、やっぱり忙しくしてるな。それこそ、自分の一人暮らしみたいなものだよ。」
「じゃあ、敦賀君も自炊?」
「……ほとんど、してないけどね。」
「そうなんだ…。」
「俺が料理できないの、知ってるくせに…。まあ、最近は結構帰って来る方かな。俺のためだけってわけじゃ無さそうだけどね。」

蓮の言葉には、少しの含みがあった。

「だから、お弁当、本当に嬉しいよ。いつもありがとう。」

そういうふうに笑ってくれると、作りがいがあるというものだ。
お弁当を迷惑がられた経験もあるキョーコが、母以外の誰かのためにもう一度作ろうと思えるようになったのは、進歩かもしれないと思ったのだ。

「そういえば最上さん、石橋君の提案、聞いた?」
「あ、クリスマス会の事?」
「うん、出るだろ?」
「ううん、それはちょっと無理みたい。」
「どうして?」
「さっきの話じゃないけど、お母さんからその日は空けておいて欲しいって連絡があったの。お母さんと一緒に外で食事するなんて、滅多にないから…だから、ごめんね?」

そういうキョーコは嬉しそうなのに、なんだか寂し気な表情を見せることに違和感が残る。

「そう…か、残念。」
「敦賀君は楽しんで来たらいいじゃない。敦賀君がくると来ないじゃ、全然みんなの反応が違うと思うよ。」
「………最上さんは?」
「はい?」
「最上さんは、俺がいたら嬉しいと思ってくれる?」

んっ?と小さくつばを呑み込んで、まじまじと蓮の顔を見た。

「…それは…まあ…そう…だね。」
「なら、よかった。」

「!?(何で、そんな顔をするの~~??)」


キョーコにとって最近の蓮の行動は突っ込みどころ満載だ。


「他の誰かが喜ぶんじゃなくて、本当は最上さんだけに喜んで欲しいんだけどな…」
「………」

キョーコは真っ赤になった。
ちょっとずつではあるが、確かに蓮と友達付き合いをしている。
『好きだ』といわれたことを忘れたわけではなかったが、蓮はいつも当たり障りなく、キョーコがお願いしたとおり適度な距離感を保ってくれていたから、さほど深く気にしなくてもすんでいる。
まあ、たまには不意打ちがあることもあるにはあるのだが、それでも、蓮といるのは心地よくて、楽しいのは、最近自覚していたところだった。

「そういうの…困るんだってば!」
「ん、分かってる。でも時々言いたくなるんだ。困らせてるつもりはないんだけど……ごめんね?」


くりっと首を傾げる姿に、キョーコはそれ以上何も言えなくなってしまう。

蓮はふっと小さく笑い、寒くなってきたね…と、休憩時間の終わりを指し示すようにベンチを立った。

もう少し…もう少しだけ、こんなのんびりした時間が長く続けばいいのにな…と、頬を撫でる風に冷たさを感じ始めた12月のことだった。





(続く)


関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメント(2)
ちょっとずつちょっとずつ…
蓮へのキョコの距離が、ちょっとずつだけど近づいてますね。
「食事は大事です!」のお母さんかお姉さんから?
お互いの事を話しながらの他愛無い時間だけど、大切な時間。

互いを知ることでしかわからない距離の中で
「俺は最上さんがいいんだ。特別なんだ』
という気持ちを、押し付けないように、でも「忘れないでね。お願いだよ」っていうのは、キョコの脳ミソに刷り込んでいく作戦ですね?

で、キョコが母、蓮がパパで…ふふふ、妄想して続きを待ってもいいかしら?( *´艸`)
それとも、微妙展開も気になるワードですが、さて何でしょうね。妄想して続きをお待ちしてます( *´艸`)

山崎由布子

2019/02/22 21:52 URL 編集返信
かばぷー
Re: ちょっとずつちょっとずつ…
> 山崎由布子様

はい~♪本当にちょっとずつ…牛歩といってもいいような歩みにございます。
何だか、まどろっこしい二人ですが、少しずつ歩み寄る予定(!)です。
でもこの先、本当に微妙展開を仕掛けてしまいまして…異様に長くなりそう。
普通にときめきだけで終わらせれば良かったと正直後悔してますが、まあ、書いてしまったものは仕方ない。
気長にお付き合い下さい。

かばぷー

2019/02/23 15:28 URL 編集返信
コメント投稿
非公開コメント

プロフィール

かばぷー

Author:かばぷー
ス/☆ビ大好き!
脳内妄想☆大暴走中
思いついた言葉を書き連ね
作品置き場にしています。

☆当サイトはリンクフリーではありません☆
お付き合いある「ス/☆ビ」二/次サイト様、マスター様のリンクをいただいています。リンクをご希望の場合、お手数ですがリンクを貼られる前に必ずご一報ください。尚、原作者様の作品画像やアニメ画像を無断掲載をされているサイト様からのリンク、多くのサイトを無断で紹介されているサイトは固くお断りいたします。

Attention!
The all of this are NOT related with the Author and/or the Publisher. Not allowed to permit from all illegal actions by the website rules. No reproduction and/or republication without any written permission from blog author and/or web site owner.
Each blogs has the copyright after publication showing on the web site and each web page by the author.
注意!
この中の全ての物は、原作者及び出版社とは関係ありません。
ウェブサイト会社規約、全ての違法行為を禁止します。著作者の許可なく摸作・転作などの行為を禁じます。
各ウェブサイト又は各ブログ執筆者により書かれた、もしくはデザイナーに描かれたそれらの創作作品は、公共へ配信された時点で著作権は著者が所有しています。 

ようこそ

カテゴリ

リンクご案内

ちょび様
陽のうらうらと
ピコ様
sei様 風月様
popipi様
ちなぞ様 ぞうはな様
ぽてとあげたい様
ぽてとは揚げて食べたいな