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僕らはセピア色の夢を見る15

今週忙しすぎて、バタンキュー…な昨日。
予告もなしに一日遅れてしまいました。
楽しみにしてくださった皆様、本当に申し訳ございません。

では、どうぞ。









カタン

郵便受けに新聞が入れられている音だろうか?
昨日眠れなかった反動からか、今日は意識が覚醒するのが遅い。

それでも、キッチンに下りればあの笑顔がおはようといってくれるような気がして、蓮はその身を起こした。





僕らはセピア色の夢を見る 15






前日の言い訳も虚しく、朝起きたらキョーコの姿はなく、その代わりに布に包まれた小さな弁当箱がテーブルの上に置いてあった。

「もう出ちゃったか……」

蓮は準備してある朝食をもそもそと口に入れ始めた。

キョーコと一緒に食べる時にはあんなに美味しいと思えるのに、昨日の晩と同じく何だか味気ない……

キョーコに誤解させたままの状態が心に引っかかるのか、それとも側にいない事がそうさせるのか、それは分からない。けれど、味覚にまで作用を及ぼし始めたとなればそれはかなりの重症だ。

……もう、とっくに自覚症状はあるのだけれど…


失敗したなあと思う。
彼女を傷つけるつもりは毛頭なかった。
けれど、一人よがりの言葉で彼女を傷つけて、遠ざけて……不本意ながらも願ったり叶ったりの状況になっているのだから自業自得だ。

けれど、このままでいいわけじゃない。

彼女によからぬことを吹き込んだかもしれない人物以上に、自分自信で彼女を遠ざけてしまった代償は大きい。
それでも、キョーコは律儀に弁当を作っておいてくれる。たとえソレがキョーコの義務感から来るものだとしても、自分はもう彼女が与えてくれるものを手放す気はない。

蓮は大きく息を吐いて、弁当の包みを鞄に入れた。









「ねえ、あんたたち、ケンカでもしたの?」


「え?誰が?」
「キョーコと敦賀君」

奏江が不思議そうに聞いてくる。

「………ううん、してないよ?」

キョーコは言葉を濁した。

喧嘩なんかしていない。適切に距離をとっているだけだ。

奏江が不思議がるのは当然で、学校でもキョーコはできるだけ蓮と会話を避けた。
蓮のほうも自分が近づくとまたキョーコが少しだけ身体を強張らせてしまうのが分かるから控えてはいた。それは奇しくも森住仁子が言ったとおりに動かざるを得ない状況に見えるだろう。

けれど、それは致し方ないのかもしれないと、キョーコは思った。



ようやくそんな重苦しい一日を終えて、帰り支度を始めたときだった。

「キョーコ、今日どこか寄ってく?」
「え?」
「ほら、元気ないから…何か美味しいもの、食べる?それとも、カラオケとか?」

奏江のちょっと言いにくそうな、照れくさそうな誘い文句にキョーコの頬が緩む。

「奏ちゃーん!俺も!俺も!一緒に行く!」
「あんたはお呼びでないの!」
「えー??一緒に行ったってイイじゃんか!ねー?」

「しっ、しっ!今日は女子会なの!男子は男子でつるんでなさいよ」
「えええーーーー⤵⤵⤵⤵⤵ 俺もスカート履きたい~~。ね、履いたらいい?」
「気持ち悪っ!女装はもう十分すぎるほど見たから不必要なの!本気で履きたいなら一人でどうぞ!」

二人のやり取りに、つい吹き出してしまった。

「ふふふふっ、ごめんね石橋君。今日はモー子さんと二人で行く!だからまた今度ね」
「そうよ、お生憎様。さ、キョーコ行くわよ!」
「了解っ!」

振り返ると、蓮がこちらを見ているのが分かった。

「いってらっしゃい。楽しんで来たらいいよ」

今までと同じ、柔らかい微笑みでそう言ってくれる。
けれど、その言葉の裏側にはできるだけ一緒にいる時間を短くするために、帰りは遅くなった方がいいと言うニュアンスがこめられているわけで………

なんて、少しだけ浮上しかけた気持ちが、ぺしゃんこにつぶれそうだったキョーコは、結局、フリータイムのカラオケボックスで、奏江と一緒の時間を延々と過ごした。







「ただいま」

「お帰り、遅かったね」

玄関を入ると、そこには待ち構えていたように蓮がいた。

「どこ行ってたの?」
「カラオケ。凄く楽しかった。敦賀君、御飯は?」
「食べてない」

その言葉にキョーコは一瞬動きを止めた。

「君は?」
「あ、モー子さんと…いろいろつまんで食べて………ごめん、食事の支度…」
「うん、別に大丈夫。カップめんでも食べるから、気にしないで?」

気にしないでといわれても、食事事情が杜撰なのが分かっているからこそお弁当を提案したのは自分なのに…と、キョーコの胸がチクリと痛んだ。
それに、蓮から微妙に怒っているような雰囲気が感じられるのは何故だろう?

蓮の怒りの矛先は、食事の準備がしてないからなのか、それとも他の理由があるからなのか……どちらにしても、この現状が蓮の思い通りになっているはずだから、理不尽な怒りの波動をぶつけられる理由なんて、どこにもないはずだ。

人の怒りを買う言動に鈍感すぎるのは自覚している事だが、キョーコはこういうときに自分の鈍さを呪う。


「ごめん……」
「? 謝らなくていいよ。最上さんは別に食事のためにうちにいるわけじゃないから」
「けど……」
「だから、大丈夫だって。それよりお風呂沸いてるから、先に入ったらいいよ。」
「あ、いや…でもそれは……」
「なんで?別にしまい湯に入る事も決まりごとじゃないし、カラオケボックス、タバコ臭くなかった?」
「う…それは…」

確かにそうだった。
禁煙室とは言うものの、でも何となくタバコ臭がする部屋の方が多いのが気になるところだ。

「うん、前に行ったことあるボックスでしょ?あそこ、わりと分煙が曖昧だから」
「確かに…」
「あと…さ、お風呂から上がったあと、少し時間もらえない?」
「時間……?」
「うん、相談したい事があって。ダメかな」

「……」

「ダメなら、また今度にするよ。お風呂どうぞ」
「あ……じゃあ、お先にごめんね」

全体的な言葉は優しいのに、何故だかふとした仕草や言葉尻に微妙に怒りの波動を感じる。
キョーコは逃げるようにして、部屋に上がった。
部屋に戻ると制服に消臭スプレーを撒き散らした。

蓮が活動している時間帯にお風呂に入るのは初めてだ。
この家に引っ越してきてから数日だけれど、しまい湯をもらってお風呂掃除をすることにしていたのだから。

お風呂の準備をして階段を下りると、リビングの方からテレビの音となにやらキッチンで食器らしきものが音を立てていて、キョーコはその音の発生者(元)が間違いなく蓮であることを確認して浴室に入っていった。





(続く)






お♪嵐の予感?
それにしても…ふう、この数日の運びがなんとも遅いこと!

10連休には仕上げたいなあ…
なーんて、願望を一応書いておきます。

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コメント

じれったいような、でも嵐ですか?
嵐ですか、嵐ですか?ワクワク( *´艸`)

キョコは蓮の邪魔になら無いように、控えめにしてますね。
そして、少しモー子さんに愚痴とか聞いてもらったのかな?女の子同士の内緒のお話。

一方の蓮は、言葉にするのが少々ヘタレン。タイミングを交わされてしまうキョコに上手く言葉が伝えられない気持ちのすれ違いですが、ふふふ…蓮くん動きますか?動いてよね!足りない言葉ですれ違うなら、本音を伝えれば絡まった紐も解けると思いますのでね。
ヘタレン、ファイト!(^_-)-☆
  • 2019-04-15│17:07 |
  • 山崎由布子 URL│
  • [edit]
Re: じれったいような、でも嵐ですか?
>山崎由布子様

嵐ですよ♪プチ☆嵐

ちょっと大嵐とはいきませんですけども、何となくさざなみ立っちゃいました。
へた蓮君に、ファイト!のエールを下さいましてありがとうございます。
ホントにねーサクサクと進んじゃって欲しいんですけど、どうも高校生は初心ですなあ。
  • 2019-04-15│21:45 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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