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僕らはセピア色の夢を見る17

うふ(*´∀`人 ♪
安定の予約投稿、ほっとするわ~








「おはよう、最上さん」

ピッカー!!と煌びやかな笑顔で挨拶されるのは、何日かぶりだ。

「!? お…はよう、ゴザイマス…」

ようやく搾り出したのに、挨拶は何故か片言

「美味しそうだね、いただきます」
「あ、はい!どうぞ」

静かに手を合わせて囲む食卓

一般的に見たらこういうのが理想だと思っていた。
理想だと思っていたけれど……キョーコには息苦しくて、なかなか喉を通らない。

じーっと見られているのも落ち着かないし、迂闊に顔を上げると朝っぱらからあの光にやられてしまうのは確実。

やたらと気まずい朝食を必死に咀嚼して、ごきゅごきゅと喉に詰め込んだ。





僕らはセピア色の夢を見る 17






「あら、珍しい。今日は生徒会室で食べないの?」

久しぶりに教室で弁当を広げる蓮に奏江が声をかけた。

「うん、それはやめようと思って、でも肝心の最上さんがいない」
「ぷ、嫌われたの?」
「そうじゃないと願いたいけどね」

ふふん、と奏江は静かに蓮の向かいの席に腰掛ける。

「何よ、あの子に遠慮するの、やめたの?」
「遠慮してるつもりはなかったな…まあ、ちょっと考えてた事ではあるけどね。」
「そうなのね。てっきり、あの子にとばっちりが行かないようにしてるのかと思ってた。」
「うん、あながち間違いじゃないよ。ただ、遠慮とは少し違う気がする。あえて言うなら…尊重?」
「ふーん……あ、そういえば、敦賀君が微妙に浮かれてた理由、分かったわよ。」

「?」

「あの子、敦賀君ちのほうに引越したんだって?昨日聞いたわ。」

ニヤニヤと、何か物言いたげに奏江は小さな声で告げる。

「近く…って最上さんが言った?」
「まあね。違うの?」
「いや、違わない。…それ、誰かに言った?」
「ううん、光にも言ってないから心配しないで。ただ、いろいろやっかみを受けそうな感じがしたから。…そういうの、大丈夫?」
「気をつける。…っていうか、随分心配してくれるんだね。」
「ん、まあね。あの子の場合、危なっかしくて見てられない感じ?ついでに言うと、敦賀君も」

蓮は、ははと小さく笑った。

「で、敦賀君的にはどうなのよ」
「どうって?」
「浮かれてるとか、今までなかったと思うんだけど…勿論本気よね?」
「本気で接しているように見えない?」

それを言うと、奏江は目を丸く見開いた。

「ううん、見える。今までの敦賀君と全然違うから、それ聞いて安心した。多分皆もうすうす分かってるんじゃないかな。分かってないのあの子だけっぽいし。」
「そうなの?」
「うん、今までとは敦賀君の雰囲気が全然違うよ。自覚ないの?」

そうか、と蓮は独り言のように呟いた。

「泣かせたら承知しないわよ」
「うん、肝に銘じておく」
「よろしくね」

そういうと、奏江はにこりと笑って席を立った。









「うううっっ、さぶっっ」

グラウンドを見下ろす階段状のスタンドの隅で、キョーコは寒風にさらされながらお弁当を広げていた。

昨日の停電からこっち、やたらと蓮の言動がおかしい。

いや、自分に興味があるとかの言動が普通じゃないのは知っていたのだけれど、でも、あからさまに微笑まれると、何だかこう……いたたまれない気持ちになってしまうのだ。

確かに好きだとかうにゃらだとか、そういう脳内で誤魔化したくなる言葉は言われた。言われたけれど、それを本気になんてできるわけがない。

だって、相手はあの蓮なのだ。

学年一背が高くて、賢くて、プレイボーイで…そして、ただのクラスメイトから友達になって、挙句の果てには家族になってしまった近いようで遠い。…もの凄く遠い存在。

自分の中に認めたくない感情があることに、気付いてしまった。

それは森住仁子に言われるまでもなく、自分のような凡人が彼に抱いていいものではないし、あろうことか世間的にはとても申し訳ない感情過ぎて、愚かしくて呆れてしまう。
それは蓮も同じはずなのに、何故蓮はああも平静でいられるのだろう?イヤ、面映くもそういう感情を自分に抱いていて普通じゃいられないという割には、あんなに煌びやかに微笑んでいられるというのも違和感が…



「お嬢さん、箸が止まってますけど?」
「ひょええええええっっっ!!???」


これまた背後から声をかけられて、箸でつまんでいた最後のプチトマトがひゅうんと飛んでいった。

「あ、ごめんごめん、そんなに驚かすつもりはなかったんだ。」

メガネをかけたサラサラヘアー男子にいきなり声をかけられたキョーコは、その男子の顔を見上げた。

「…あの、何か御用ですか?」
「御用じゃなきゃ声をかけないでしょ?」
「はあ…」

そそくさとお弁当箱をしまっていると、クスリ、とメガネ男子は優しく笑った。

「隣、座っていい?」
「………はあ、どうぞ」

すとん、と近すぎない距離に座る。
誰だったっけ?とキョーコはもやもやした感じで、じっと顔を見た。

「何?そんなに見つめられると、困っちゃうんだけどな、最上キョーコさん?」
「はわっ!!すすす、すみません!どなたが何の御用かと思いまして、しかも、何故私の名を?」
「ああ、蓮に聞いてるから」

「へ………蓮?」
「そう、敦賀蓮。あとね、俺の顔、覚えてないとは心外だな。学校内ではそんなに無名な筈じゃないんだけどね。う~ん、まあ、イケメンのカテゴリーと一緒にされると確かに劣りはするけれど?」

妙に記憶をくすぐる情報が流れ込んできて、混乱した脳内にようやく一つの記憶が浮かび上がる。それは文化祭での絶妙なスピーチで……

「あっ!!生徒会長の社さん!!」
「正~解♪」

「はて?その生徒会長さんが、何故敦賀君と?」

「ああ、蓮から聞いてない?」
「何をですか?」
「しばらく前まで蓮の隣の家に住んでたんだ。いわゆる幼馴染…ってとこかな」
「幼馴染…?」
「そう。そして君の事も少しは聞いてるよ?百瀬さんが凄く君の事を評価してた。とても頑張り屋さんの子が蓮と同じクラスにいるんだってね。あとは……嬉しそうに生徒会室で君の作った弁当を食べてたからね。」
「ええっ!?」

「ああ、知らなかった?蓮のやつ、しばらく生徒会室でご飯食べてたんだよ。それはそれは嬉しそうに」

まさか、初対面の(?)相手からそんな事を聞くなんて、気恥ずかしいやら何やらで赤面してしまう。

「うん、君が蓮にお弁当を作ってるんだね。ありがとう」
「いえ、これは自分に課せられた役目なので」

そういうと社は目を丸くして、肩を震わせ始めた。

「う~ん、なるほど。これは手強いわ」
「????」

「じゃあ、本題に入るよ。あいつさあ、断りやがるの」
「?????」

「生徒会の仕事しないか?って誘ったのに、断るんだよ?俺様の誘いにもかかわらず!だよ?」
「ハア…」

「生徒会に入ると一緒にいる時間がなくなるから、惜しいんだってさ。そんでもって上手いはずの弁当を食べてるのに、一人じゃ味気ないって言うんだよ」
「味気ない?」

「そうなんだよ。一人でご飯食べるのがいやなんだってさ、俺の隣で食べてるのにね」

そういうと、社は頬杖をついてキョーコをじっと見た。

「あいつさ、ずっと一人で飯を食うのに慣れてたんだ。うちでも勿論嬉しそうには食べてたんだけどね、いつの間にか一人でも平気になった。今まで俺を頼ってきてたし、今もそれは間違いないくせに俺と一緒にいても食事が美味くなくて、別の人と一緒に飯を食べる事を選ぼうとしてる。って言うか、求めてる。それって凄くない?」

「それは………単に一緒に食べる人間を求めてるってことじゃ…」

「そうだと思う?」


じーっとメガネの奥の瞳に見つめられて、キョーコは目をそらした。




「最上さん!」

そのとき、背後から蓮の声がして振り返った。

「よ!今日はもう弁当すんだのか?」
「ええ、社さん……どうしてここに?」
「ああ、彼女が一人で寒そうに御飯食べてたからさ、ちょっと声かけた」
「そうなんですね。最上さん、ここ寒くない?教室に入ろう」
「え、あ……」

蓮に促されるまま、お弁当を持って立ち上がる。

「れーん、ちょっと強引過ぎ」
「強引なくらいが丁度いいんです。さ、最上さん行くよ」
「あ!社会長、すみませんお話中断しちゃって…」
「気にしないで」


さも気にするなといったふうに、社は二人にひらひらと手を振って見せた。




(続く)





あれ…?本当で終わるのか?

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