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僕らはセピア色の夢を見る18

18話まできましたよ。
多少は進展したのかな?






「あ、の…敦賀君?」

ぐいぐいと、キョーコの腕を引いて蓮は進んでいく。

「敦賀君、どこ行くの?」

「…………」

「敦賀君ってば!」

半ば引き摺られるような早足で、裏庭倉庫の前まで来ると、キョーコの視界がふっと暗くなった。

“トンッ…”

という音と同時に壁に押し付けられたのは自分の背中

これは…いわゆる、壁ドンというやつですか?とあからさまに目をうろつかせてしまったが、正面に見える蓮の真剣な顔が怒っているように見えて、キョーコはコクリと息を呑んだ。






僕らはセピア色の夢を見る 18







「あの…」
「何、話してたの?」

「………え…?」
「社さんと何話してた?」

えーと、とさっきの事を反芻する。

「敦賀君が……生徒会の事、断ったって……件」
「他には?」

「一人でご飯食べても……味気ないとか?」
「うん。それだけ?」
「まあ、そんな感じ」

そういうと、蓮はふーっと横を向いて息を吐き出した。

「やっぱカッコ悪……」
「え?何が?」

「社さんにまでやきもち焼くとか、正直余裕なさすぎで、マジで格好悪い…」
「えぇっ!?ヤキモチ?な、な…何で?」

ちろり、と蓮はキョーコをねめつけた。

「ヤキモチくらい焼くよ。昨日の琴南さんとのカラオケだって、あんまり遅すぎると思ったくらいなんだから」
「でも!」

「でもじゃなくて、ほら、忘れてない?昨日ちゃんと言ったのに」


蓮が不機嫌に見えた理由が分かって少しだけホッとしたけれど、蓮の恨みがましい目を見ていると、昨日耳元で言われた台詞が脳裏を掠める。
こういう体勢で、しかももの凄い至近距離で男の子と顔を合わせたことなかったキョーコは、ようやく自分のおかれている状況を理解した。

「わわわわ!忘れてないけどっ!!何で、この体勢なの?」
「ん?だって、最上さん、こうでもしないと逃げるじゃない」
「逃げない!」
「ホント?」
「ほほほ、本当!逃げないから、こういう誤解されそうな体勢は、やめてもらえる?」
「じゃあ誤解じゃないから、やめない」
「あやややや、だから!」

慌てふためくキョーコを見て、クスリ、と笑みが漏れた。

「うん、ごめん。ちょっと本当でテンパッたから意地悪した。本当で逃げない?」
「逃げません!」

じゃあ…というと、キョーコの顔の側にあった立派な腕がゆっくりと離れていって、キョーコは一息ついた。

「あー…びっくりした」
「びっくりした…って、これが?」
 
悪びれもしないで、蓮は首をかしげた。

「壁ドンって言うらしいよ。漫画みたいで心臓に悪いよ」
「心臓に悪いって…それ、都合よく解釈していいの?」

ぴたっとキョーコの顔が真顔になった。

「解釈はどうぞご自由に」
「そうか、なら勝手にしておこう。とりあえずありがとうでいいのかな?」

本当はこんな笑顔も心臓に悪い…と思うのだけれど、それは口に出すのはやめておいた。

「最上さんは俺のこと、やっぱり嫌い?」
「嫌いなわけ、ないじゃない」
「ホント?」
「何で噓いうのよ」
「だって、俺から逃げてるから…」
「私…逃げてたわけじゃないよ?」

そう告げると、蓮は目をくるっと大きくした。

「そうなの?てっきり俺が嫌いで逃げられてるかと思ってた」
「嫌いとかじゃ!……ない…から」

蓮の事は嫌いじゃない。
でも、少しは距離を置こうと思ったのは事実だ。

「うん。嫌い…とは違うの。距離をね、適切にとりたかったの」
「距離?何の……」

「私たちの距離」

キョーコはそういうと、困ったように微笑んで見せた。

「だって、私たち、“きょうだい”になったじゃない?それなのに、敦賀君とそんなにべったりはいられないよ。だって、へんじゃない?お互いに再婚の連れ子同士で、いくら友達になったからといって、新しく家族になった男女がべったりしてるって」
「変…だと思うんだ?」

「私はね……。もう少し距離があってもいいと思うの。だからごめんね。少し逃げてたと思われてても仕方ないです」

「本当に嫌いじゃない?」

え?と思ってキョーコは見上げた。
いつになく真剣な眼差しで、蓮は自分を射るように見ている。

「嫌いじゃないね?」
「う………ん」
「俺のこと、苦手じゃない?」

「あ……うん、それは全然大丈夫」

苦手じゃない?と、尋ねられて、一瞬考えた。
苦手だった筈だ。確かに以前までは。

蓮の近くにいることも、蓮のような煌びやかな人間と関わる事も凄く苦手だった。できるなら一人で過ごして、誰からも注目されずにひっそりと過ごすことがある意味目標みたいになっていて、目立つ行いはしたくないと、できるだけ話しかけられたくないと思っていた。
それは今も変わらないはず……なのに、今は苦手だなんて思っていない。

その理由は実に単純明快で、実に分かりやすい。
だって、もう答えはとっくに出ているのに、それを見ないようにしているのは自分だ。
こんなに近くにいたって、嫌だなんて一つも思えるはずもない。

「そう、それなら嬉しい。最上さん、週末デートしよう」



「………へ?」



凄く間抜けな声が出た。

「うん。デートって言って断られても困るな……今週末は晴れの予報だから、ちょっと二人で遠出しない?一緒に行きたいところがあるんだ」






(続く)
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