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僕らはセピア色の夢を見る20

最終話です。
えっ!?これが?って感じですけど、気にいって下さったらいいなー。(超願望)









「敦賀君!一人暮らし…って、どういうことなの?」

ようやく二年生も終わったその日、夕食時に告げられた言葉に、キョーコは一瞬我を忘れた。

「うん、今言ったとおりだよ。来年はここじゃなくて、学校近くのマンション借りて学校に通う。別に転校するつもりはないから」
「でも!それじゃ約束が……」
「キョーコ、これはね、お父さんと蓮君がきちんと話し合ってきめた事なの。私たちの反対するところではないわね」
「認めてくださり、ありがとうございます」

「お母さん!敦賀君!」

自分の知らぬところでそんな話になっていたとは知らなかったキョーコは反対した。けれど、もう確定事項なのだといわれればそれまで。自分に発言の権利はもうなかった。

そして、春休み中に必要最低限の荷物を持って蓮は家を出た。






僕らはセピア色の夢を見る 20






   ~~5年後~~


「キョーコ、この荷物、どこに置くの?」
「あ、隣の部屋に…」
「……隣とかじゃなくて同じ部屋に置けばいいのに…」
「だからっ!!そういうのはけじめがなくて嫌なの!」
「けじめ……って、折角一緒に住むんだから、わざわざ部屋を別にしなくてもよくない?」
「だって、あと1年だけでも大学生の間はちゃんと別々の部屋にした方がいいの!私まだ公務員試験が控えてるでしょ。それに、卒論だってこれからなのに!」
「じゃあ、家に戻る?」

キョーコは苦虫を噛み潰したように蓮を見た。

「…………やだ」

クスクスと笑いながら、蓮はキョーコを後ろから羽交い絞めにしてソファーになだれ込み、膝の中にキョーコを抱え込んで、後ろからぎゅっと抱きしめた。

「んもうっ!片づけが終わらないでしょ?」
「片づけは後回しでいいんじゃない?」

顎に手を添えて、後ろから軽く口付ける。

「…そういうの、照れるんですけど……」
「うん、キョーコ、可愛い……」

ちゅ、ちゅ…と軽い口付けは、だんだんと深くなっていく。

「あの…ね、蓮。………蓮?」
「うん?何?片付けは後ね」
「ん…ふうっ………ん」


“ピンポーーン……”




「……っ」

いいトコロで呼び鈴が鳴った。

「あ!はい、はい、はい、はーい!!」

多分、高校時代からの友人に間違いないだろう。

「やっほー♪引っ越し祝いに来たわよ」
「おーい、おっ邪魔しまーす。敦賀君、久しぶりだね?」

「久しぶり…って、石橋君にはついこの間、新入社員セミナーで会っただろう?」
「奏江、光君久しぶり!ごめんね、ちょっとまだ片付いてないんだけど……お茶入れるからその辺座ってて。」

「あ、いいわよ。気にしないで?」

パタパタとキッチンに向かうキョーコの後姿を見送ると、仏頂面の蓮を見て奏江はにやりと頬を緩ませた。

「お邪魔しちゃったみたいね♪」
「何のことかな?どうぞお気遣いなく」
「ほほう、相変わらず憎らしい事ね」

このメンバーで集まれば、高校時代の会話に花が咲く。
4人で実行委員をしたあの文化祭から、もう5年半が過ぎた。

蓮が突然一人暮らしをはじめるといったのは、高校3年生に進級する時。

宣言どおりキョーコに淡々と告白を続け…でも端から見たら猛烈にアプローチをし続けて、彼氏彼女として付き合い始めたのは高3の夏のこと。けれども蓮は一人暮らしの部屋にはキョーコを絶対に入れなかった。

ただ、学校では同じクラスで毎日顔を合わせ、毎日キョーコの作るお弁当を一緒に食べて、帰りは家まで送った。

そして、受験

それぞれの進学先が無事に決まり、晴れて大学生となり、しばらく経ってから二人はようやく関係を持つ事ができた。
キョーコが1年間の海外留学をして学年がずれてしまったけれど、一人暮らしと自宅通学生という立ち位置は崩さずに生活を続けてきた。だが、一足早い蓮の就職を機にこの新しい住まいに引越してきたのだ。


『蓮、私の大切な娘に手出しをするのはやめてもらおう。どうしてもというなら、独り立ちできる算段ができてからだ。そうでなければ例え実の息子と言えども、うちの娘はお前にはやれないな』


新婚旅行から帰ってすぐに、父親にそう言われた。
おそらく、随分前に蓮の気持ちに気がついていたのだろう。

だから家を出た。

高校生、大学生の間は親に頼らざるを得ない。ある程度アルバイトで収入を得たとしても、正社員には及ばない。けれどもキョーコを諦める気は更々なかったし、キョーコ以外に好きな女性が現れるとも思えない。
そして、一つ屋根の下にいて、高校生の迸る欲望を抑える自信は持てなかったというのが事実上の本音だ。


ふ、と蓮はコーヒーカップを片手に、思い出し笑いをこぼす。

「なあに?思い出し笑い?」
「え?いや…なんでもないよ」

初めてキョーコを連れて行った海沿いの地味なデートコースに、時期が来たらまた行かなくちゃなと思う。
あれは、プロポーズのときに両親が辿ったという行程。そして、キョーコの母親にも同じコースを辿ったらしいと後で聞いた。

「そういえばさ、琴南さんのほうはどうなの、順調?」
「え!?何よ、そこ聞く?」
「うん、うん、俺も聞きたいよ。奏ちゃんってば、いつの間にか社会長と付き合ってんだもん!」
「偶然大学が一緒だったからよ。何よ?悪い?」
「悪かないよ。社さん…この春から中央省庁だったっけ?」
「ひゅーひゅー!官僚だよ、官僚!」
「ヒューヒューじゃないわよ、光!ぶん殴るわよ?」
「社さん、そういうお仕事向いてそうよね。」
「うん、それは言えるね」

「そういえば光君こそどうなの?今回は長続きしてる?」
 
光はハウ~ン、と眉を下げると情けない声を出した。

「キョーコちゃん聞いてよ~~、ユウナちゃん…俺に内緒で合コン行ってて、イケメン君に誘われたからってさっさとそっちに乗り換えて、今傷心中~~。奏ちゃんも、慰めてよ~~」
「また?……馬鹿なんだから、もう!」

クスクスとそれでもめげない光を笑う。

「どうせ社会人になっても敦賀君はモテまくりでさ、きっと俺と付き合う子とか、もってっちゃうんだろうなぁ~~、ああ~~イケメンが羨ましい。同じ会社に内定してるだなんて何の因果だよ~~」
「それはこっちの台詞。それに、女の子なんて持ってかないよ。俺、キョーコがいるから」

「でぇ~~、相変わらずのでろ甘なんだから~~」
「本当よね。はいはい、ご馳走様!」

えへへ、とキョーコは笑うが光がそういうのも無理はない。
蓮は大学時代も散々ミスター○○候補にノミネートされ、ファッション雑誌に取り上げられるなんて事もあったのだから。

それでも頑なに、キョーコ一筋だといってくれる。
それは嬉しくもあるが、心配の種が尽きないわけではない。

「見てみて!これ、高校の修学旅行!」
「ぷぷぷ!この時のキョーコちゃん、なんて顔してんの?」
「ぎゃ!!噓、やめて!」
「この石橋君の寝姿も凄いけどね」
「敦賀君~~、そういうのなし!!」


思い出の写真を眺めて、記憶の欠片を探して、今の自分たちがその延長にあることを確かめる。


「ふふふ、懐かしいね」
「うん、いろんなことがあったね」


色鮮やかで煌く想い出は、月日と供に色褪せていく。
けれども、その懐かしい色合いは決してさび付いていく事はない。

些細な事さえも色づいていたあの頃のことは
今でも鮮やかに蘇り、なんてことのない日常に彩を添える。


「二人とも、また遊びに来て?」
「うん、そうするよ」
「私はやあよ、敦賀君ににらまれるもの!」
「そんなことないよ。ね?蓮」
「さあ、どうだろう?」

「ほら、早く二人っきりになりたいって、目が笑ってない」

「うん、察してくれてありがとう」
「うわー、やだ、やだ。独占欲強いの、変わらないわよね」
「そうかな、キョーコ限定だけどね」
「はいはい。次……は、結婚式かな。楽しみにしてる」
「やだ、奏江ってばまだ気が早いよ」
「琴南さんの期待に沿えるよう頑張るよ」
「もう!蓮ってば!」


ひとしきり過去の思い出を振り返り、僕らはセピア色の夢を見て、
そしてまた前を向く。



そう、真っ直ぐに前を向く







(僕らはセピア色の夢を見る・完)





☆;+;。・゚・。;+;☆;+;。・゚・。;+;☆;+;。・゚・。;+;☆;+;。・゚・。;+;☆

お…終わった!
なんか、だらだらと書きましたけど、終わりを迎えることができました。
ハピエン、よね?間違いなく。大丈夫よね?

萌えシチュ、いくつ書けたかな。
思い通りにかけたものとそうでないものが半々でしたが、長々とお付き合い下さり、ありがとうございました!


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コメント

若さ♡
『味』がありましたね〰️。
青春の頃の記憶は、大人になると色褪せますもんね。すごくいい意味で(*^^*)

『以前』があったから『今』がある。『10代』があったから、『20代』になれた。……うん。大人の恋愛もいいけど、その礎となる、高校生らしい恋愛もまた乙でした。

かばぷーしゃまの意図とは違う感覚で読んでいていたかもしれないけど。私は、こんな年だし、もう終わっちゃったなあって(笑)でも、今度は娘達の時代がくるなあ…こんなふうに一途に思ってくれる素敵な彼が現れたらいいなあと思って色々妄想していました(*^^*)

  • 2019-05-18│16:27 |
  • ぽてとあげたい&ぽてとたべたい URL│
  • [edit]
Re: 若さ♡
> ぽてとあげたい&ぽてとたべたい 様

おお、『味』がありましたか!それは嬉しい。

我輩は甘酸っぱい高校生活は送っておりませなんだが、大学生活はそれなりに満喫したと思っています。だからこそいい意味で普段は色あせているようでも、時には色濃く蘇り・・・なんて思うんですよね。
過去があるから今がある。ふと、あの時の幸せの延長上に今の自分たちがいると思えたら幸せ♪そして、今も幸せだと思えるのはあの時の過去があったからって感謝したいなあ。そんな思いでこのお話のエンディングが出来上がりました。(勿論萌えシチュが書きたい前提ですけど!おほほほ)
なかなか思うように進まず、終わりはあっさりな出来具合ですが、喜んでいただけたら嬉しいな♪
  • 2019-05-18│19:12 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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