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僥倖

これね、タイトル決まらず ずっと放置の代物。
何故か、うんうんと悩んでしまっていたのです。

ちょいと、仰々しい物言いになりますが、内容はさらっと。
少しだけ、お付き合い下さい。








今、目の前を敦賀蓮が歩いている。

こんなド田舎の、こんな鄙びた観光地に「敦賀蓮」が、歩いている。

うそでしょーーーーっっっ!!!???






僥倖






そもそも、敦賀蓮を初めて見たのは、とあるドラマだった。
暖炉の前で少年が服を脱がされるシーン…

台詞も何もない、ただ大人の女性が少年のボタンをゆっくりと外していくだけの官能的なシーンに子供ながらにどぎまぎして、画面から目が離せなかった。

そして、その少年が敦賀蓮と言う名前の俳優なのだと知った。
 
それからというもの、PURPLE DOWNⅡ も DARK MOON も 彼の出演するドラマや映画は隅から隅まで全部観た。勿論バラエティーに至るまですべてをチェックし、CMのポスターまで集めてファンクラブにも在籍。自分は筋金入りの敦賀蓮ファンといっていい。いや、絶対的なファンだと豪語しておく。
しかしながらこの超ド田舎暮らしで家は貧乏だから、敦賀蓮に会いに行こうとかそういう追っかけまではやってないし、実を言うと実物を一度も見たことはない。けれど、親には内緒だけれど、家にある敦賀蓮グッズは相当レアなものを含めてかなりの数を持っているし、ファンメールだって届く、撮影情報やらなにやらを事細かく把握している。
ただし、ファンクラブに入っていてもミステリアスが満載な俳優というのは確定要素なのだけれど…その私が言うのだ。

絶対に、間違いない。

さっき目の前を通り過ぎた背の高い男性が、例え変装をしていたとしても見間違えるつもりはない。自称筋金ファンの絶対的勘だ。

「ねぇ今日子、どうしたの?」
「え?いや、あれ…敦賀蓮だ」
「え?どれ?どこ?」

ミーハーな友人が、敦賀蓮見たさにキョロキョロと周囲を見渡す。

「さっきすれ違った背の高い人」
「え?やだ!ホント?」

流石に私の視線の先にいる背の高い男性をすぐに見つけた。

「あの人?今手水の方に向かった人?」
「そう。絶対」

間違いない…と言おうとして、それは友人にさえぎられた。

「えーー??違うって!敦賀蓮がこんなとこ来る筈ないし!それにさぁ、いくら背が高いからって、あれ、外人さんじゃない!絶対違うって。」
「いや、そんなはず……」

手水で柄杓を器用に扱っているその姿は、確かに外国からの観光客にしか見えない。でも自分には分かるのだ、その立ち姿、腰の高さ、柄杓をとる綺麗で長い指、そして耳の形……

ふと、敦賀蓮は顔を上げると、じっとこっちを見た。

噓…見られてる?こっち?
え?声が大きすぎて聞こえた?それとも勝手に見てたから?怒った?

いろいろな考えが頭をめぐるけれど、敦賀蓮に見つめられて堕ちない女はいない。
それは、さも当然のことだというように、自分の心臓が有り得ないほどに脈打っているのが分かる。

バクバクと鳴り響く心臓

やばい、やっぱり格好いい。涙が出そうなくらい格好いい。

そのとき、声が聞こえた。



「キョーコ」






一瞬、心臓が止まったかと思った。

間違いない、敦賀蓮の声だ。

そう思った瞬間、ドッドッと音を立てて再び血液が流れ、身体が震えた。

でもなぜ? 何故私の名を知ってるの?
どうして敦賀蓮はあんなに眩しい笑顔で私の名を呼ぶの?
噓でしょ?
これって、運命????
ドラマティックな出会いが、いま!?今ここに起きてるの???

敦賀蓮、最高―――――っっっ!!








…………と思ったら、細身の女の子がスッと私達の横を通り過ぎた。

「酷いです!屋台覗いてるのに勝手に置いてくなんて!」
「くす、ごめんごめん。やたらと熱心に商品説明を聞いているから、先に逃げた方がいいかと思って。これくらいの距離なら一人でも大丈夫だったろう?」
「逃げっ?そういうの、意地悪って言うと思うの!クオンのバカ!」
「うん、ごめんね?それはそうと、ハンカチないの忘れてた。貸して?」
「もう!はい。」
「ありがと。キョーコも洗って?お参りしよう」



女の子が綺麗な所作で手水を使い、仲良さそうに手を繋いで鳥居の下をくぐっていく。

ああ、そうか……
彼女、“きょうこ”っていうんだ……
まさか一瞬自分のことかと思ったけれど…そうか、別の人だったんだ。


当たり前のことだけれど、それが自分でなかった事が何だか悔しいなんて、どんだけ自意識過剰なのよ?と自分に突っ込みたくなる。
けれど、一瞬自分の名前を本当に呼ばれたと思った。

“きょーこ”

有り得ない。

けれど、耳に残る敦賀蓮の声。
彼の口から出たのは、私のものではない私の名前。
有り得ないけれど、心が痺れる。彼の口から出た私の名を呼ぶ音は、心と耳に焼きついた。

“きょーこ”

嬉しい。
単純に嬉しい。

“きょーこ”

敦賀蓮のファンでいてよかった。
こんなド田舎だけど、観光地の近くに住んでて良かった。

“きょーこ”

二人して参道を上っていく後姿をじっと眺める。
ああ、しっかりと目に焼き付けておこう。

有り得ないけれど隣に並んでいるのは、もしかしたら自分の可能性だってあったかもしれない妄想なんかしちゃったりして。
もしかしたら、実物の敦賀蓮は画面で見るほどクールじゃないかもしれない。きっとお茶目なところもあるのだろうと思わせたりして。


「今日子、今日子ってば!」
「へ?あ、ああ。ごめんごめん。ボーっとしてた。」
「何よ彼女持ちの観光客にそこまで見とれてたの?でもあの彼、かっこよかったねー」

もう一度、振り返って敦賀蓮の背中を目で追った。

「……うん!(絶対敦賀蓮だし、当然よね。)」



信じられないほどの一瞬の極上体験
信じられないほどの興奮と顔の火照り
信じてもらえないだろうこれは、私だけの一生の秘密
きっと私はいつまでもこのことを覚えているに違いない

ああ、あなたのファンでよかった……。





(END)



なんちゃって?なお話しでした。

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コメント

コメント(4)
幻のデート?
クオンの姿のキョーコちゃんとの内緒のデートだったんでしょうか。
一歩間違うとストカに近い猛烈なファンで、でもその思いは純粋で、
そんな偶然にキョーコと呼ばれてみたら?
自分の事でなくても、夢の中で名前を呼ばれたような幻の言葉の響き。

しかしひとめ惚れしたのはかなり情熱的な、キョコ的には破廉恥なシーンでそのドキドキが強かったんでしょうかね( *´艸`)
そんなシーンなら暫く夢から覚めない、一生覚めない夢の時間でしょうね。

山崎由布子

2019/06/02 21:32 URL 編集返信
No title
そもそも、敦賀蓮を初めて見たのは、とあるドラマだった。
暖炉の前で少年が服を脱がされるシーン…

台詞も何もない、ただ大人の女性が少年のボタンをゆっくりと外していくだけの官能的なシーンに子供ながらにどぎまぎして、画面から目が離せなかった。


これって33巻のACT.196の事を言っているんでしょうか?

だとしたら絶対敦賀蓮じゃないと思いますよ。

キョーコちゃんはどう見たって小学生。仮に6年生だとしたら11歳のはずで、4歳年上の敦賀蓮は16歳。

敦賀蓮がデビューしたのは確かにその年らしいけど、「ダークムーン」は彼が初チャレンジした「濃い恋愛ドラマ」ですからあり得ないと思いますが??

通りすがり

2019/06/06 17:47 URL 編集返信
かばぷー
Re: 幻のデート?
> 山崎由布子様

> クオンの姿のキョーコちゃんとの内緒のデートだったんでしょうか。

そうですね、そのつもりで書きました。
内緒の鄙びた観光地デート♪
そこで「キョーコ」と呼ばれ、地元住まいで敦賀ファンの今日子さんが呼ばれて振り返ったら・・・
なーんてことを妄想したりして。

自分が呼ばれたと思ったら、さすがにドキドキしませんか?
そんな経験してみたい♪的な願望が入りまくりの妄想にございます。

かばぷー

2019/06/06 19:20 URL 編集返信
かばぷー
Re: No title
> 通りすがり 様

> だとしたら絶対敦賀蓮じゃないと思いますよ。

そう考えられたのですね。あなたの仰るとおり、本当にそうかもしれません。
確かに暖炉の前の少年は敦賀蓮じゃないかもしれないし敦賀蓮かもしれない。
そこは、作者様しかご存じない事ですので、私はそれを元に妄想を膨らませているのでございます。
彼がデビュー当時にどんな作品に出ていたか?何て情報は読者の知りえない設定ですからね。(PDⅡは出て来ましたけど)
なにぶん素人の書く二次妄想ですから、設定を都合よく変えたり、こうだったらいいなあという願望の元に妄想を膨らませたり・・・作者様の意図とは異なる場合が多いのでしょうね。解釈もいろいろあると思います。
例えばそのドラマの内容は、濃い恋愛ドラマではなくサスペンスだったかもしれません。ただの端役でそういうシーンが出てきたのかもと、あのシーンに関して私は脳内妄想を繰り広げました。

否定的な目でご覧になるのも一興ですけれど、もし、どうしても相容れない内容でしたら、拙宅の妄想話をご覧にならないことをおすすめします。妄想垂れ流しの文章ですけれど、無理やり押し付けているつもりはありませんし、読者様はそれを読まない権利もございますので。


かばぷー

2019/06/06 19:38 URL 編集返信
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