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真夏の果実 1

ようやく新しい連載をお届けすることが出来そうです。
本当はお盆前に出したかったのですが・・・

ちょっと大人模様のパラレルです。

では、どうぞー(^-^)/







「ねえ、このあと・・・二人でどこか行こうよ?」

キョーコは一瞬その問いかけにどきりとした。

職場の同期である石橋君に提案された小さな飲み会
二次会には何故か彼の友人たちが合流し、キョーコはそこでそんな声をかけられた。






真夏の果実 1






「行きませんよ」

一瞬固まったのだが、にこりと笑ってそう切り返した。

「えー?何で?俺、キョーコちゃんの事、好みなんだけど」
「またまた、噓ばっかり。貴島さんはお口がお上手なんですね」
「お口がお上手・・・って、つれないこと言うね」
「そうですか?」

こういう手口は危険だと思う。

割と親しくしている石橋君の学生時代の友人と聞いたからには、無下にできるものではないが、カジュアルなバーで偶然出会った知り合いを紹介し合うなんて、ていのいい合コンだ。

流石にアルコールが入っているとはいえ、初対面の相手ともなれば緊張だってするし、会話の内容にだって気を使う。フレンドリーを装ってみてもそれは一時の出来事だと思うからだし、キョーコとしては了承したつもりもなければ、本来ノリがそれほどいいというわけじゃない。

「ね?少しだけ一緒にいようよ」

ああ、きっとこうやって、何人もの女性が犠牲になったんだな・・・と思いをめぐらせた。

(ムカムカする・・・)

別に男性恐怖症と言うわけでもないし、男嫌いかといわれたらそうでもないと思う。
けれど、明らかにやり目的というか、そんな誘いにほいほいと乗って、一夜のアバンチュールが出来るほど、身持ちが軽い女だと思われたのは癪だ。

そんなことを思っていたら、眉間に小さな縦じわが出来た。

「ふはっ・・・貴島君、彼女、嫌がってない?」

楽しそうな声が聞こえた。

「え?そうなの?キョーコちゃん、もしかしてノリ悪い方?」
「ノリが悪くていけませんか?そういうの、好みじゃないんです」
「いけなくはないけどさぁ、そういうのが好みじゃないって、どういうのよ・・・まさか、ちゃんとお付き合いしなくちゃ!ってタイプ?それとも彼氏がいたりする?」

「・・・・・・いませんけど」

「そうなんだ!じゃあ問題ないじゃん」
「どこが問題ないんですか!」
「んーとね、俺は君の事が気になってて、ちょっといいな。と思ってる。彼氏がいるとかなら遠慮するけど、フリーだったら、もう少しだけ一緒に時間を過ごして身体のお付き合いしてみても良くない?そこから始まる恋愛だってあるっしょ?」

あまりに軽い口調に、はーっと溜め息をついた。

「良くないです!問題だらけですよ」
「えー?何で?」
「そういうの、軽すぎだと思います」
「そうかな?確かに欲望に忠実に生きてますけど、軽すぎ?そんなに軽くないってー」
「逆に何で軽いと思わないのかが不思議でたまりません!」
「え?逆に俺は何で可愛いと思った子を口説いているのが軽いと思われるのかが分かりません!」

あっけらかんと言う貴島を前に、もう帰ってしまおうと腰を上げかけたときだった。

「貴島君、今日のところは君の負けだよ。彼女、そういうタイプじゃないらしい」
「タイプじゃない・・・て、俺は好み!興味津々!」
「いつも以上に攻める気満々だな・・・」
「そりゃあね~♪こんなに可愛い子ばかりに囲まれていたらね!」

やれやれ・・・と彼は溜め息をついた。

「最上さん・・・だっけ、出ようか?」
「あっ、はい!」

「あっ!!蓮!お前、バックれるつもりだな!こら!横取りするなんてずるいぞ!?」
「あははは、何言ってるの、酔いすぎだよ。それじゃ、行くから」
「すみません、失礼します」

腰を上げた彼に連れ出されるようにして席を立つと、上手くやれよーなんて、下世話な声がどこかから聞こえた。





バーを出ると、夜の熱気がむあっと押し寄せてきた。

「暑いね」

その一言で我に返った。

「くすくすくす・・・しわ、凄く寄ってる」

トントンと眉間を叩く仕草に、慌てて自分の眉間を手のひらで押さえた。

「気にしなくていいよ。結構はじめから困ってただろ?」
「気付いてたなら・・・止めてくれたって・・・」
「とりあえず、馬に蹴られたくはないからね。さて、家はどっち?」
「あ、浅草方面で・・・」

キョーコは思わずそう呟いた自分の状況に唖然とした。
さっき、一緒に出ようとこの人が言った時、普通に出て来なかったか?その直前まで一緒にいようと口説いていた貴島には断っていたのに、それっていわゆる・・・

「反対方向だね。地下鉄?それともタクシー止めようか?」
「あっ!地下鉄で帰ります!」
「そ?じゃあ、そこの入り口まで」
「いえっ!あの、自分で帰りますので!」
「ん?そうだね。それがいいと思う。ただし、その近辺の酔っ払ったお兄さんたちに声をかけられて逃げ切れる自信があれば」

「・・・・・・へ?」

「全く・・・意外と警戒心が薄いのかな?夜道を女の子が一人で歩くもんじゃないよ。ただでさえ、時期的に飲みに出かける人間が多いんだから」

そういわれてキョロキョロと見渡してみれば、確かに年若な男性たちが路上にたむろして、店から出てくる女の子たちに声をかけているナンパな姿がちらほらと・・・

「年若な・・・って、君もその一人だと思うけど?」

思いがけず脳内思考を指摘されて飛び上がった。

「じゃ、行こうか」

クスクスと意地悪く笑う男性と、つかず離れずの微妙な距離で最寄駅まで歩いた。
その間、二人の間に会話は無い。

普通に階段を下りて、普通に改札を通って・・・

「じゃ、こっちの路線だから」
「あ、はい。失礼します」
「うん、じゃあまた」

ペコリと腰を折って、その背の高い後姿を見送ったその後でふと気付く。


(・・・・・・・・・じゃあ・・・また?)


また、などという事は一般的にはあるはずがない。
いや、同期の友人なのだから全くなくはないかもしれないが、偶然出会うことがあるなんて、この広い東京で滅多にあることではないと思う。
たとえば滅多にないことの一例として、普段道を歩いていたってロケ現場に居合わせるとか芸能人に会うなんてこと、一回あったかなかったか程度のことなのだから、そんな、そんな・・・「また」だなんて、さっきの貴島と同じくリップサービスでしかない。

だが、キョーコの常識とは裏腹に、その「また」は、意外とすぐに訪れたのだった。






(続きます)





タイトルがなんか艶かしい~~と思ってつけたんですが、某有名な曲とかぶってましたね。
まあ、あまりあの曲は意識せずにご覧下さい。
ちょっとだけ似てる部分はあるかも・・・ですけど。

次は金曜日ごとの更新です。


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コメント

一生懸命口説くけど
貴島君が一生懸命口説いてますね。
でもキョコには「何この人」レベル? お耳を素通り。
そんな隣に現れたのは、浚うでもなく誘惑するでもない蓮様ですが、微妙に口説きが入ってますか?( *´艸`)
「また今度」
はい頑張ってキョコ口説いてね。
タラシの匂いがプンプンしてますが気のせいでしょうか?( *´艸`)
  • 2019-08-19│23:40 |
  • 山崎由布子 URL│
  • [edit]
Re: 一生懸命口説くけど
> 山崎由布子様

ええ、今回は初っ端から貴島氏は全開でキョコさんを口説きました。
そして、静観していた連様ですが・・・

> タラシの匂いがプンプンしてますが気のせいでしょうか?( *´艸`)

ずばり!!その通りでございます!!
今回の蓮さん、真面目でも一途でもない風体。
一般受けしないかもしれない女タラシ・軽々コースでございます!
あ~~、こういうの、ドン引きされるかもな・・・と思ってます。

  • 2019-08-20│20:10 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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