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真夏の果実 7

大人仕様パラレルです。
色気、色気・・・そういうのが欲しい今日この頃

では、どうぞ♪

(9/29 微修正)








「参ったな、これは・・・放置プレイ?」

ベッドルームに一人取り残された蓮は、呆然と呟いた。

今までと同じ傾向ならば女性の多くは何だかんだと纏わりついてきて、正直それがとにかく面倒だった。だから仮に女性と関係を持ったとしても泊まる事なんかしないし、そもそも、後腐れなさそうな女性ばかり選んできた。

・・・・・・今までは、の話だが。

社会人になってからは特に気をつけた。同じ会社の人間と関係を持つなんて面倒くさいことこの上ない。だから自然と会社の女性には目が向かなくなる。

・・・・・・あくまでも、今までの傾向から言って、だ。

けれど、こんなに気持ちが乱されたのは初めてのこと。迂闊な姿にイライラして、冷たく当たるなんてことも自分らしくはない。何かしら接点を求めて、積極的に声をかけたのも初めての経験だ。
肌を合わせた感じが今までで一番刺激的で、言いようもなく心が満たされたのは間違いないのに予想外にそっけなくされて、逆に朝っぱらから彼女の関心を引きたいとか、どんな心境の変化が起きたのだろうと自分でも不思議な思いだ。

「・・・・なかなかに、結構効くみたいだな・・・」

さすがにやってしまった感が否めずにいる。
もう少し距離を詰めてからアプローチすべきだったと思う一方で、とにかく早く彼女の意識の中に自分という存在を認めさせたいと思ったのも事実だ。

蓮はがっくりと肩を落とし、これからどうしようかと逡巡した。

このままさっきの指示もどきを無視してここにいてもいいのだが、さて、言い訳はどうしようか。
キョーコの困った顔を見るのもそれはそれでそそられる。

事実、妙に困らせたくなるのだ。

『一度だけ』という言葉に了承したつもりはないけれど、あの様子ならば次はないと決めているに違いないと考えをめぐらす。このまま挨拶も交わさずに別れた場合には、きっと次の機会はなかなか巡ってこないのかもしれない。おそらく職場でも無関係にふるまわれるのがオチだ。今回みたいに意地悪く押して、次も同じようにどうにかなるような相手じゃない気がするが・・・

(とりあえず、引いてみる?いや、違うか・・・・・・)

蓮はハンドバッグの脇にメモを残し、部屋を出た。





真夏の果実 7





キョーコはそっとバスルームの扉を開いた。

「ほっ・・・いない」

先に出てくれと言ったものの、シャワーの音を聞かれているかと思うと気が気じゃなかった。それでも、ドアを開けたらしい気配を感じ、ようやく浴室から出る決心がついたのだ。

「さてと、のんびり・・・しちゃいられないわよね。あうっ!メイク道具!下着もない!ひ~~ん、流されるとこんなふうになっちゃうんだ!」

ひと夏の・・・いや、一晩限りのアバンチュールなんて、漫画で見る限りロマンティックには違いないが現実は容赦ない。下着やストッキングだって替えたいし、化粧水だって欲しい。お化粧直しが女性の身だしなみといえど、下地を含むメイク道具フルセットまでは事前に準備していなければ鞄に入っているわけがないのだ。

鞄の中身を確認しようとしてメモに気付いた。

『支払いは済ませてあるので、心配しないように。今日のプレゼンのサポート、頑張って』


「・・・・・・支払い・・・」

ホッとしたような、複雑な気分がする。

「そりゃそうよね。あんなに手慣れた感じで私のような初心者丸出しでも、おそらく比較的スムーズにコトを運ぶことが出来るってことですもんね!へーへー、そうですよね。御礼が御礼になってないかもだけど、ちょっと私が払いすぎたってことかもね。そりゃそーでしょ、一応曲がりなりにも初体験・・・・・・」

そこまで言って、ぽとっと涙が落ちた。

「こんなふうに呆気なく失っちゃうもんなんだ・・・」


軽々しく扱わないように、今まで細心の注意を払ってきた。初体験に夢がなかったかといわれたらあるに決まっていて、本当は思い合う相手とできるのが理想だと思っていた。
蓮の言うとおり“欲望”に忠実になってみた結果がこれ。
なんとなくふわふわして、自分が女としてあることの自覚が感じられたのは確かな事実。それに、あんなに威勢よく啖呵を切って望んだのだから後悔なんて微塵もしていないけれど、失ってしまったものに対して少しは感傷的になるというものだ。

「ああぁ~~、ホント、呆気ない・・・」

そう呟いてはみるものの、相手が誰でもいいわけじゃなかった。
だからその点ではキョーコが“してみたい”と思える相手と出来たのだから良しとせねばなるまい。
ただ、その相手とは付き合っているわけではないし、これからも付き合う予定がないというだけで・・・

「いつか、いい思い出にできるといいんだけどな・・・」

キョーコはふうっと大きく息を吐くと、勢い良く着替えを始めた。











「いらっしゃいませ~」

ホテル近くのコンビニを見つけて意気揚々と店内に入っていったキョーコは、おにぎりコーナーに真っ直ぐに向かった。

「ん~と、高菜・・・紅鮭・・・ふっくら焼きたらこも捨てがたい・・・」
「そうだね、枝豆の入ったやつも美味しいかも」

ふと聞こえた爽やかな・・・だけれど、つい数十分ほど前まで聞いていた美声に息が止まり、ギギギ・・・とキョーコは声のするほうに顔を向けた。

「やあ、最上さん、おはよう。」
「・・・おは・・・よう・・・ゴザイマス・・・」
「コンビニで朝ごはん調達なんて珍しいね」
「・・・・・・・・・」
「おすすめってある?」

なんてわざとらしい・・・
けれども、不自然ではないいつもどおりの煌びやかさに、眩暈を起こしそうだ。

「野菜ジュースとかお味噌汁など、追加されてみては・・・」
「ああ、それがいいかも」
「ではお先に・・・」

蓮はトントンを眉間を指先で叩いた。

「しわ、寄ってる。折角一緒になったんだから、会社まで一緒にどう?」
「・・・・・・・・・」

開いた口が塞がらない。
さっき(ホテルで)お断りした筈だ。一緒に朝のコンビニに行くなんて、危険だと思って。

ちらり、ちらり、とコンビニ内を見渡してみれば、見知った顔がいるようないないような微妙な気分がするが、ここで極端な態度を見せる方が確かに不自然だ。

別々のレジで会計を済ませるタイミングも一緒。
キョーコの予想では、「じゃあ」って、この後颯爽と会社に向かう姿のはず・・・・・・
・・・・・・だったのだが、何故か蓮と一緒に歩く羽目になる。
これじゃあ、何のために先に部屋を出てもらったのか、意味がない。


「あのー・・・」
「ん?」
「別に先に行かれても・・・」
「どうして?」
「一緒に出社するのはどうかと・・・」
「別に朝のコンビニで、偶然出会ったくらい、よくない?」
「偶然・・・ですね。確かに」

状況的には確かにそうだ。けれどもマズイ。するとラッキーな事にストッキングを買い忘れたことを思い出した。

「あ、しまった!」
「ん?」
「私、うっかり買い忘れたものがあるみたいなんです。さっきの店に戻・・・
「うん?」

キョーコは不穏な空気を醸し出す返事にぎくりと足を止め、再びおそるおそる見てはいけない方へギギギギ・・・と機械的に首を動かして後悔した。
何故に会社へ向かう路上でこんなに無駄に煌びやか且つ、胡散臭そうな笑顔の視覚的攻撃を受けなくてはならないのだろう?と。
 
「行くでしょ?会社」
「行き・・・・・・ますね・・・・・・」

それ以上は何もいえずに蓮の顔を凝視していたら、びっくりするほどの悪い笑顔が更に突き刺さった。

「・・・最上さんが軽々しく男の純情を弄ぶ人だとは知らなかったよ」
「へっ!?」
「一度だけなら・・・って。もしかして俺、弄ばれたの?」

「(はあーーーーっっっ)・・・・・・・!!!???」

あんぐりと口を上げていると、何事もなかったようににこやかに微笑む。

「なんてこと、流石に職場では大きな声で話せないけど、最終ばれなきゃいいんでしょ?」
「(※□△●~~~!!!???っっ)」

「じゃ、行こうか?」

にやり・・・と意地の悪い笑みを浮かべる蓮を恨めしく思いながら、わなわなと身体が震える。

(な、な・・・何、これ??敦賀さんて、こんな人だったの?)

時々発せられる、胡散臭いオーラに急かされて、結局同じタイミングで出社した。






(続く)




ようやく蓮さんの心理状況が出てきた。
会社に向かうキョコさんの気分は、きっとドナドナ・・・(笑)

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コメント

コメント(4)
そうなんですよぉ〜
かばぷー様、いつもいつも楽しいお話で癒されております、ありがとうございます!

そうなんです、蓮さんの気持ちがこれまで描写されなかったので、少しハラハラしちゃってました。
ですが、やはりキョコちゃんは時別なんですね!これまでとは違う、あたらしい感情を感じているんですよー。クフフ。
そういう腹黒ありつつ、大変純情な蓮さん、めっちゃ好きです!
続きも楽しみ待っております〜!

よっちゃん

2019/09/27 20:50 URL 編集返信
かばぷー
Re: そうなんですよぉ〜
> よっちゃん 様

ですよねー・・・蓮さんの心理状況はいったいどんな風になっているんだ?とやきもきさせてしまったと思います。
蓮さんサイドを書くのが少しタイミングが遅かったというか、書きたいものかいていたら忘れちゃったーって感じ。(ごめんなさいね、あはははは)

でもまあ、安定の特別感。
そして安定の両片思い。

腹黒い彼の責め手は緩みません。

かばぷー

2019/09/28 11:53 URL 編集返信
やっぱり掴み処がない
蓮様、オモテになるし、仕事もできるし、ちょっと悪い男が入ってる?と言うのが予測でしたが、キョコにはどこか気持ちが引っ張られるという感じなんでしょうかね。
気になるという感じも、可愛いとか離したくないとか、自分の気持ちとしてもよくわからない。今まで軽い気持ちで付き合った人とは違うから?
しかし女性の扱いになれてるから振り回されるキョコさんですが、
ゲ、ヤッパリ初だったの?キョコなりに納得ならいいけど、零れた涙は気になるし。

そして蓮様、「弄ばれたの?」って何処じゃい!と思いつつ、キョコの行動次第では振り回してやってよ、キョコ!と思うけど、掴み処のない感じが、どっちがどっちを弄ぶのかな?
ふふふ…と楽しみにしております。

山崎由布子

2019/09/28 20:01 URL 編集返信
かばぷー
Re: やっぱり掴み処がない
> 山崎由布子様

悪い男ですよね~~。
一回こっきりだから、捕まらないようにしよう。と思いきっているキョコさんなのに、逆にもてあそばれたと脅す(?)あたり、本当に確信犯なんだと思います。
あああ、遊び人認定確実・・・
でも、キョコさんに対しては今までとは別扱いだということはわかっていただけたと思いますので、どうぞご安心ください。

かばぷー

2019/09/29 10:29 URL 編集返信
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