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雨降りに花開く恋心 1

パラレル初挑戦です。
(実は、ヘタレ僕ちゃんより、こっちを先に書き始めていました。)

今回の設定は、蓮さんもキョコさんもアナウンサーという設定です。
ちなみにキョコさんは、気象予報士。
いつもより、ちょっとばかりかっこいい蓮さんになるといいなあ…。なんて、願望ですよ、願望。

うまくいくといいなあ。


雨降りに花開く恋心 1 



『おはようございます!今日は大陸からの移動性高気圧に覆われて、全国的に晴れ間が広がり、良いお天気となるでしょう!まずは、気象衛星の画像から…』

元気の良い、はきはきとした耳障りのいい声がする。

休憩室のモニターをふと見上げると、先輩アナウンサーの社が、にっこりと笑いながら呟いた。

「キョーコちゃん、慣れてきたみたいだね。負けてられないなあ。」
「キョーコちゃん?誰ですか?」
「お前、周りに関心ないのも大概にしろよ…。入社2年目、アナウンス部で気象予報を担当することになった、最上キョーコちゃん!画面の彼女だよ。」

画面には、くるくる動く大きな目の女の子が、実に楽しそうに天気予報をしている。

「ああ、彼女…。」

思い出した…。
去年の配置後の飲み会で、『偶然、アナウンサーになることができました。とても幸運です。』 などと自己紹介をした娘だ。
腰掛程度のやる気で入社した、小娘を気にするのも馬鹿らしい。
どうせ、適当にスポーツ選手を捕まえて、さっさとやめるか、アナウンス自体に挫折して、裏の仕事に配置換えされるかのどちらかだ。表舞台に立つ女性アナウンサーの仕事は、綺麗で可愛いだけじゃ勤まらない。
何度か新人研修も担当してみたけれど、なぜか腹の立つことが多かった。
世の中そんなに甘くない。

そんな訳で、蓮は自分の視界に入れることもあまりなかった。

「ふうん…2年目でねえ…。でも、あれって、局アナの仕事じゃないでしょう?」
「ホント、お前、何にも知らないんだな。キョーコちゃんは、高校時代に趣味が高じて気象予報士の国家資格取ってるんだってさ。だから、この春クールから、天気予報を外部委託するのをやめたんだ。まあ、うちの局にはちゃんとした、気象情報入手システムも稼動しているし、データだけなら買い取れるから、できたことだろうけど。後は…彼女、大学時代に司法試験も通過した才女なんだぞ!そんな風に見えないから、さらに良いんだけどさ。」
「ですけど、資格持ってるだけの、ド素人でしょう?」
「ちっ、ちっ、ちっ、それが気象予報に関してはコンピューター解析真っ青な精度だってさ。」

社は、にまにまと画面を見つめてさらに呟く。

「ホント…可愛いよなあ。気立ても良くて、高感度抜群、急上昇中だよ?」

蓮はちらりと社を見た。
どちらかというと人当たりは良いが、晩熟な印象の社が、後輩といえど、こんな風に同僚のアナウンサーを可愛いと褒めるなんて珍しい…。

『…ですが、首都圏はもしかすると、一時的に急な雨が降るかもしれません。これからお出かけの方は、夕立にご注意ください!以上、最上キョーコでした。』

(…は?雨?)

「…社さん、これって、彼女が予報してるって言いましたよね?」
「うん。そうだよ?」
「こんなに晴れてるのに、雨って…、彼女大丈夫ですか?」
「う~~ん。デスクが許可してると思うし、実に良く当たるんだよね。彼女の予報…。」
「そんな馬鹿な。」
「…っと、蓮、ゆっくりしちゃいられないな。そろそろお前も打ち合わせの時間だろう。」
「そうですね。」

こんないい天気に雨が降るなんて、そんなことはないだろうと思いつつも、社と二人、別々にミーティングルームに向かった。


打ち合わせに向かう、長身の男の名は、敦賀蓮 
業界最大手のテレビ局、LMEテレビに所属する入社6年目のアナウンサーだ。

普通の芸能人よりも見栄えのいい、端正な顔をした彼は、業界きってのモテ男。
甘いマスク、よく通る低い声、高学歴、高身長、
眉目秀麗なアナウンサーに、言い寄る芸能人も少なくない。
しかし、アナウンスの仕事に対しては真摯で、他の追随を許さない。
そして、同じ業界の人間に対しては、非情なまでに厳しいと評判だ。

「じゃあ、新企画の打ち合わせを始めようか!最上君も、入ってきて。」
「はいっ!おはようございます!最上キョーコです。これからよろしくお願いします。」
「「よろしくお願いします。」」

プロデューサーの紹介で遅れて入ってきたのは、先ほど天気予報をしていた、最上キョーコだった。

「今回は貴島秀人さんをメイン・パーソナリティーに迎える。敦賀君にはサブで、M・Pをサポートしてもらって、最上君には、新しいコーナーを任せたいと思う。」

今回の新しい番組は、イケ面人気タレントの貴島秀人をM・Pとして起用だ。
それに、アナウンス界のイケ面、敦賀蓮をWで投入して、がっつり女性視聴者を取り込む作戦らしい。
そこに、女の匂いがしすぎない、最上キョーコを持ってきた、というところだろう。
バラエティーでのアナウンサーの仕事は、タレントの補助をしながらトークに花を咲かせる役割で、タイムキーパー的な役割も持つ。
一方キョーコは、新しいコーナーを仕切ることになっているようだ。初めて天気ニュースを読むようになった彼女には、大抜擢だ。
キョーコは恐縮しながら、打ち合わせをし、その時間を終え、アナウンス室へ戻った。

「つ、敦賀先輩。この度の番組、どうぞよろしくお願いします。」

キョーコは、今時の子とは思えないほどの綺麗なお辞儀をして、蓮にあいさつした。

「ああ、こちらこそ、よろしく。最上さん…だっけ?」
「はい。今回、先輩とご一緒できて、光栄です。ごあいさつが遅れて申し訳ございません。」
「いや、すごい大抜擢だけど、大丈夫?」
「いえ、運が良かったとしか、言いようがありません。ですが、このチャンスを有り難く活かしたいと思います。どうぞ厳しくご指導ください。」

(運が良かった…ねぇ?)

「ふうん、まぁ、運の良さだけではこれからうまくいくはずないから、しっかり、がんばって?(ビリリッ…)」

(…ぴゃ!?な…なに?私、この人を怒らせるような事した?)

射るような目線が、一瞬にして刺さったと思ったが、すぐに春の日差しのような表情に置き換わる。

「ところで、最上さん、さっきのお天気ニュースだけど…。」
「ひゃ…はい!何でしょうか?」
「何で、このお天気で雨なの?」
「は?あぁ…、上空の大気のようすです。特に今日は上空の大気の状態が不安定となっているので…。」
「降らないよね?それ、どこのニュースでもそんなこと言ってなかったでしょ?いい加減な予報は、視聴者にとっていい迷惑だ。」
「…(むっ)…いい加減なんかじゃありません。実際、雨のにおいもしましたし!」
「雨のにおいって…根拠に基づいた予報じゃないの?なおさらだめだね。至極曖昧な予報じゃないか。呆れるよ。」
「そんな!降ると思います!いえ、降ります!いい加減な予報はしてないつもりです!」
「…つもり…?降らないね。断言する。運がいいだけで、この仕事が勤まるとは思わないことだ…。」
「~~~!!降ります!絶対降るんです!」
「頑固だな、君も…。降・ら・な・い!」
「絶対!降・り・ま・す!!」
「降らない!」
「降ります!」
  ・
  ・
  ・
「「む~~~!ふんっ!!」」


降る・降らないとくだらない言い合いをした二人は、バチバチと火花を散らして、次の仕事に向かった。





“ピルルッピルルッ”
「はい、アナウンス部。ああ、分かった。誰かにリポートさせる。(カチャ)おーい、ちょっと誰か、現場の事故レポートに出てほしいんだけど。社!行ける?」
「あ、はい!行きます!」
「ああ、頼む。今、現場は雨が降っているそうだから、気をつけて。」
「はい。」

この後、ニュースが入っていて、動けない蓮の代わりに動いてくれた社。
きっと、それはこの後のニュースで取り上げるはずだ。
だが、蓮にはそれ以上に引っかかることがあった。

(雨…?降ってるのか?)

デスクから離れて、ブラインドを下げて外を見る。
視界に入ったのは…窓をたたきつける雨。

急な雨で視界が悪くなり、起きたらしい事故。
数時間前にキョーコに告げた言葉が、蘇る。

『いい加減な予報は、視聴者に迷惑だ…』

(しまった…な。本当に降ったんだ…。)

窓の外を見やり、大きく溜息をついた。



(2)に続く
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