雨降りに花開く恋心 2

『では、現場からの中継です。社さんお願いします。』
『はい、事故現場上空です。今日の4時ごろに、発生したと見られる事故ですが…』

急に降り始めた雨がもたらした、事故。
トレーラーの横転という、大きなものだったが、幸いにも命に関わる事故には、ならなかった。




雨降りに花開く恋心 2



ニュースが終わり、もう一つクイズ番組のアナウンス収録。
蓮が部署に戻ると、すでに22時を回っていた。

「お疲れさん。」

社が、声をかけた。

「社さんこそ、お疲れさまでした。ヘリ出動だったんですね。」
「ああ、現場には、もう入れなかったから。渋滞の状況も伝えないとね。お前は、今日は上がりか?」
「ええ。」
「ちょっと、飲みに行くか?」
「はい。行きましょうか。」
「よ~し、行こう。」

二人が連れ立って、席を立ったところで、キョーコの姿が見えた。

「あれ?キョーコちゃん、まだ帰って無かったの?明日も早いんじゃないの?」
「あ、お疲れさまです。あの…ちょっと、手間取ってしまって…。」

ちらっと、蓮を見る。

「え?大丈夫なの?」
「はい。後、少しデータ検討したら帰りますので、大丈夫です。」
「そうなの。それは、そうと、今日の予報、よく当てたね。凄いや。」
「ありがとうございます。…でも、信憑性に欠けると、いけないと思ったので、その…下準備を…。」

蓮は、先程のキョーコの視線の意味を理解した。

「だけど、キョーコちゃん、本当に根を詰めるのは良くないから、帰った方がいいよ。」
「はい。そうさせて頂きます。お疲れさまでした。」

それじゃあ、と方向を変えたところで、キョーコが声をかけた。

「…あの!…。敦賀先輩。」

蓮が振り向くと、キョーコは真っ赤になって、ぺこりと腰を折った。

「今日は、生意気な事を申し上げて、すみませんでした!」

握りしめた手は、微かに震えている。
社は、不思議そうに、蓮を見上げた。

「いや、こちらこそ…大人気無くて申し訳無かった。君の予報が正しかった。その…、ごめん。」

キョーコは、パッと視線を上げると、しばらくして、少しだけ嬉しそうに頬染めた。

“ トク…ン ”

蓮は一瞬、自分の心臓に小さな何かが刺さったような感じがした。

「なんだよ?蓮。お前、まさかキョーコちゃんをいじめたんじゃないだろうな。」
「そんな人聞きの悪い。」
「社さん、違うんです。その…アドバイスを頂いたんです。」
「へーえ、珍しい。アドバイスねぇ…。」
「……」
「ま、そういうことにしとくよ。じゃあ、キョーコちゃん、本当に帰ろうね。」
「はい。失礼します!」

先程とは違い、少し声に張りがあるように感じられる。
蓮は帰り際、振り向いて声を掛けた。

「最上さん、『先輩』 は次からつけなくて良いから。じゃあ、お先に。」

キョーコは、再び深くお辞儀をして、二人の先輩アナウンサーを見送った。



(3)に続く

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